マクドナルドとコンビニだけ

 #stayhomeと言われても、都心に仕事に行かなければならない人たちがいる。

 例えば外回りの現場では、接触を最低限にすることを優先すると、現場に訪問しても最短時間で用事を済ませて帰ることになる。

 これまでなら、会社からモバイル勤務が認められる人であれば、少し現地で電源を借りてパソコンを使わせてもらうこともこれまではあったかもしれないが、すぐに訪問先を出なければならない。

 しかし、街中は自粛と客数減少によって閉店している店が相次いでいる。象徴的なのはスターバックスの臨時休業であり、訪問先を出て立ち寄る場所の最有力が使えなくなった。

 店だけではなく、外出者の滞留防止のため、広場においてあるテーブルと椅子も撤去されていて、公園くらいしか座る場所すらない。なお、地域によっては大型の公園も閉鎖されていることがある。

 モバイル機器を充電する場所もないが、バッテリーを買いたくても一部の家電量販店はネット販売の受け取りしか対応してくれなくなった。店員に感染者が出た影響だろうか。

 飲食チェーン店は対応が分かれているが、マクドナルド、ガスト、吉野家はやっている。ガストと吉野家は出店先に偏りがあるので、これまで昼食は外食だった人が確実にありつける食事はマクドナルドかコンビニだけになってしまった。先日、吉野家で電源プラグがついた席を見たがあまり多くはない。パソコンで作業となるとマクドナルドか、一部のコンビニのイートインコーナーしかない。

 午前中、A社と打ち合わせ。午後、B社と打ち合わせ。夕方、C社と打ち合わせ、だったとする。B社は「うちは在宅なんでビデオ会議でお願いします」と言ってもらえたとして、どう回ればいいか。いったん家に帰るわけにもいかず、昼にマクドナルドに行ってタブレットでビデオ会議に参加。C社の後にも打ち合わせ結果の整理のために再びマクドナルドに行く。夜、マクドナルドを出る頃には油っぽいゲップが出る。

 小規模店舗は細々と営業を続けているが、恐慌が長引けばいつまで開いているかわからない。ディナー中心に店舗が「ランチはじめました」というのぼりを立てているのをよく見かける。お弁当を売っていたりもするが、事務所が閉鎖されていたらお弁当は公園で食べるしかない。雨が降ったら我慢するしかない。

 大型商業施設は緊急事態宣言を受けて全館閉鎖されている。地方でシャッター通りというのは当たり前の光景だが、都心で平日昼間にシャッター商店街が見られるのは今だけ。写真家の人は面白い絵が撮れる。今は臨時休業と書かれいているが、そのうちテナントの力がつきて空き店舗だらけのシャッター商店街が現れるだろう。

 ノマド族をターゲットとしたコワーキングスペースが東京で大増殖していたが、一部は閉鎖している。営業を継続していても新規受付お断り、あるいは、受付無人化というところが少なくなく、月額固定料金なしの都度払い(ドロップイン)で使える施設はわずかである。既存会員まで締め出してしまうと、返金をしなければならないし、返金するお金がたとえあったとしても返金のために受付に列を作ってしまうと接触を生んでしまう。

 個室スペースのレンタルは、密閉空間のため、利用者が個室を使い終わった後に除染しなければならない。駅ナカに個室型のワークスペースが数多く設置されていたが、無人にもかかわらず、閉鎖されている。

 喫煙所は3密のため閉鎖されている所が多い。路上の歩行者が減り、過料の徴収員もみかけない。すると、堂々と路上で吸う者が増える。小売店の人が店の周りを掃除しなくなる。長らく休業していてシャッターが降りている店の前は吸い殻だらけである。

 今の姿はコロナウィルスが収束すればいったんはなくなるかもしれないが、Society 5.0が進行した後の東京の姿を占っているようにも見える。働く人が詰め込まれていたエリアは生活しにくくなり、別の機能を持たなければ衰退する。