2026年6月8日、日本経済新聞。
www.nikkei.com
千葉県の東京湾岸部に新たな高速道路を通す新湾岸道路の構想が進んでいる。海沿いの高架かトンネルか、あるいは既存道路の拡幅か。首都圏の物流ネットワーク強化などの目標と、海辺の環境・景観への配慮の間で国や県は慎重に「解」を探っている。
わざとなのかわからないが、新聞に書かせた誰かが、景観か渋滞解消かの論争に持ち込もうとしている。
景観は道路のデザインにもよるだろう。
海沿いを高架でつなぐ伊勢湾岸道路を見てかっこいいと思う人もいるだろう。
守りたい景観というのは、何か。千葉の企業は何かとTokyo-Bayと言いたがるが、しょせん内房である。
エメラルドブルーのきらきらした海面に熱帯魚が群がっているわけでもない。
海が見たければ外房に行けばいい。
問題なのは道路を作っても渋滞は解消しないということである。
交通問題解消という観点における費用対効果の効果が「ゼロ」なのである。
B/Cが1を上回るのか?、いやいや、ゼロである。
もちろん、建設、土木関係の業界と、土地を提供して立ち退きに協力した企業には経済効果があると思うが、それは税金が原資である。
外環道の千葉区間開通により、東関東自動車道上りにおける渋滞の先頭は高谷ジャンクションになり、市川・松戸地区の県道の目詰まりは、外環道の三郷、草加付近に移動した。
渋滞の先頭が変わっただけで、渋滞そのものがなくなったわけではない。
現在ですら渋滞の先頭になっているところに道路をもう1本つなげる。
高速道路の上りを基準に見ると、千葉の2方向から湾岸道と外環道の2方向に車を流す計画だ。
◆◆◆
[高谷ジャンクション]
(in)
- 東関東自動車道
- 第二湾岸道路 ←追加
(out)
- 首都高速湾岸線 (浦安、東京方面)
- 外環道 (松戸、三郷方面)
◆◆◆
2方向から2方向となれば、合流が発生して、譲り合いによる走行速度低下が今以上に発生する。
千葉市内や船橋市内の渋滞を市川市内に輸出するだけのことである。
第二湾岸を都内に伸ばす構想もあるようだが、東京都が参加するメリットがどこにあるのだろうか。
湾岸道路の渋滞を解消できるかのような演出をするかもしれないが、高谷のボトルネックを都内に移すだけ。
外環道の草加みたいなスポットを都内に追加するに過ぎないのである。
高谷における渋滞の列が生み出す排気ガスを、国と東京のお金を使って東京に輸入する。
財務省と東京都がそんな構想に賛同するはずがない。
わたしは道路建設と聞いただけで何でも反対しているのではなく、必要な整備は行ったらいいと思う。
ただし、単に排気ガスの移動をするためだけに道路を造ることに意義を感じない。
千葉県の沿線自治体は、自分たちの財政能力で道路を造り切ることはできない。
アクアラインも圏央道も国頼りであった。
土地の確保や立ち退き交渉には自治体も参加するのであろうが、特に高架案については虫食いでしか進捗しないと思われる。
中途半端に買収した空き地をフェンスに囲い、長年放置するという仕事がしたいらしい。
圏央道の建設が終盤を迎え、千葉区間全通が見えた今、千葉の関係業界と行政は新しい道路が欲しいのである。
厳密にいえば、
- 交通問題を解消したいのではなく、
- 道路を造りたいのでもなく、
- 道路を造る仕事がほしい
こう解釈するのが自然である。
景観か渋滞解消か、ではなく、
「景観か雇用対策か」が正確な論点設定である。
道路ができなくてもいいから、国のお金を引っ張る口実がほしい。
そういうことだ。
そんな税金があるなら、立ち退き料の金額を倍にして、外環道と成田空港の接続を前倒しで進めるべきなのではないか。
