わたしは、政府の負債は国債を借り換え続ければいいと思っている派です。
人類は、銀行を活用した信用創造を発明してしまったので、いったんこれに手を付けた以上、少しずつ富を膨らませて成長させ続けるのは宿命なのです。
緊縮派は「いくらでも金を刷ってもいいのか」と言うのが口癖ですが、原理主義的なMMT理論派の方を含め、誰一人「いくらでも」なんて言っていません。
というか、「いくらでも派」の名前を具体的に挙げてみてほしいです。
秩序ある信用創造を続けていけばいいのです。
清貧や成熟を主張する人々こそが、成長をあきらめ、子孫につけを残そうとしている罪深い主張をしていることに気づくべきだと思います。
「高市政権のせいで、2026年以降は恐ろしい物価高がやってくる」と煽っている人たちも同様で、その人たちこそが成長をあきらめて衰退したらいいのです。
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企業もまた、金を借りるならばできるだけ長期で経済を回した方がいいのです。
企業はgoing concern、継続企業というフィクションの上で成り立つ存在です。
存続させるつもりでいるうちは、借りられるものはしっかり借りた方がいいのです。
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しかし、
個人は違います。
超長期50年ローンは、月々の返済金額が抑えらえる代わりに、元本の返済スピードが遅いです。
この後、経済情勢がどのように変わるかわかりません。
半世紀後も東京は人々を飲み込み、成長を続けると確信するのであれば都心の物件を時価評価するのもよいかもしれません。
ただ、それは約束された価値ではありません。地震のリスクは、個人がどんなにがんばっても避けられません。
確実に値上がりを続ける根拠に乏しければ、資産は保守的に見積もらなければなりません。
50年の間にもし貸したらどのくらい収益が見込めるか、50年後に建物を処分するならどのくらい支出があるかを見極めて資産評価をするべきです。
ローンの期間にかかわらず、日本のほとんどの地域において不動産価値は目減りをしていくのです。
資産は目減り。
負債はなかなか減らない。
資産と負債のバランスが悪い取引です。
出世した人が高い家賃の部屋を借りるのと同じように、高い物件に住むことは借りた時と賃料相当の支出をしていると考えて生活をした方がいいです。
順当に出世する人、稼ぐ人にとっては問題ないでしょう。
月100万円の家賃を払える能力のある人は、月100万円のローン返済を50年ローンに切り替えて80万円にしたいのであれば、利用してもいいかもしれません。
ただし、生身の人間は、政府や継続企業とは異なります。
多くの人は、年を取れば体力をなくし、気力も失います。
子どもがいたとしても家を引き継ぐかどうかはわかりません。
居住用物件も同じです。
オーナーが入れ替える新陳代謝を計画的に行っている場合を除き、タワーマンションの住民も高齢化していきます。
スキー場の近くに建てられたリゾートマンションを見ればわかることです。
自分は何か事業に成功して富を築いたとしても、管理組合の構成員はどんどん年を取り、収入を減らしていき、管理費を滞納する者が現れるでしょう。
しまいには相続を放棄されるかもしれません。
マンションを50年ローンで返すというのは、赤の他人も含め近隣の全員が家計において失敗しないという奇跡を信じることでしかありません。
値上がり確実で、短期で売り抜ける計画であれば話は別ですが、そういう人は50年ローンは選ばないと思います。
昭和の高度成長期以降は、家族が家を持つのではなく、個人が家を持つ時代になりました。
家族は先祖から子孫へと受け継がれていきますが、個人はやがて亡くなってしまうのです。
資産は目減り。
負債はなかなか減らない。
返済能力も下がっていく。
融資実行時点で、すでに35年で返せる見込みがある人が、資金を手元に残して有効活用するために使う金融商品なのだと思います。