交換を考える

やがて壊れるときのことを考える

住宅には大きめの機械や什器を入れる。
新築のときには障害が少ない状態で搬入して設置するが、やがてそれが壊れた時のことを想定しているか。
車庫にどのように車を入れるかどうかはみんなが気にしているはずなのに、いざ家族が大きくなったら車を大きくしたいが駐車場に入らないといったことが起こりうる。

車でさえこれだから、それ以外についてはたいてい設備工事業者の人任せである。
修理交換は10年に一度なので業者の人に任せておけばいいという考えもあるが、家主に負担が来る場合もある。ひとつは追加料金。もうひとつは重労働だ。

  • ビルトインの食器洗い乾燥機を交換しようとしたら、最大限引っ張り出す必要があると言われ、大きな食器棚を移動しなければならなくなった
  • ピアノを搬出しようとしてクレーン車を手配してもらったが、以前停めた場所に電柱が建っていると言われた
  • 大型冷蔵庫の搬入が難しいと言われて無理やり入れてもらったが、交換のときには「前の業者さんがどうやったか知りませんけれど、うちには無理です。ベランダを一部壊しましょうか」と言われた
  • 隣の家の木が成長して、搬出入経路の邪魔になっている
  • エアコンの室外機、エコキュートのタンク(貯湯ユニット)を搬出できない
  • システムバスの交換のときに、玄関までの経路をすべてきれいにしてくださいと言われ、部屋の片づけが大変だ
  • 廊下に作り付けの机を工作していたのだが、いったん撤去しなければならない

交換しにくい家

新築、住みはじめのときに注意しなければならないのはこんな家

  • 水回り(台所、浴室)が2階以上
  • 階段が狭い、複雑に入り組んでいる
  • 自宅を建設する時点では周りが空き地であるが、そこに別の建物が建ちそう
  • 自分の家または隣の家で外構(柵など)を造る予定がある

問題は新築の場合。どれも新品なので難しいかもしれないが、10年後のことを思い浮かべてみる。
内覧下見で大きいものを見たら「これはどうやって交換するんですか?」と聞いてみたらいい。
中古の場合、不動産業者から「今の家主さんがまだ使えると言っていましたよ」と言われても「やがて交換するでしょ」と食い下がる。

「ぴったり」は避ける

システムキッチンやユニットバスは規格が決まっているので、同じ大きさのものに交換できる可能性が高い。
例えばビルトインの食器洗い乾燥機は国産のものであれば同じところに埋められるだろう。

一方、壁につけるリモコンは機器によって、形状がばらばらである。
キッチンでは給湯のリモコン、照明のエアコン、インターフォンを1か所にまとめて設置ことがあると思うが、それぞれのリモコンを隙間なくぴったり並べてしまうと、交換するときに入らないことがある。
新築だと、入居後にエアコンを設置する場合もあるだろうが「リモコンをどうします?」と聞かれた時に即答せず、交換するときのことをよく考えてみる。

注文住宅において、現在持っている冷蔵庫の寸法ぎりぎりに壁を造って、冷蔵庫を収めようとする人がいる。
冷蔵庫は次も全く同じ大きさのものに買い替えられる可能性が少ないし、そもそも冷蔵庫は放熱するので、冷却効率をあげるためには隙間が必要である。
ほこりがたまりやすいなどとして、壁ぴったりに寄せてはいけない。
壁を冷蔵庫の寸法に合わせて注文するなんてもってのほかである。

以前はテレビについても、外付けステレオスピーカーと合わせてピッタリの家具を使う人がいた。数年前に急に大型化したため、むき出しで使っている人も多いだろうが、今後何か家具を買うときに機械と「ぴったり」のものを買うとしたら本体と同時に交換かもしれないと思っておくのが無難である。