小屋裏エアコンの注意点

小型エアコン1台で一般的な広さの一軒屋の全室を賄えるという小屋裏エアコン。
さまざまな専門家がYouTubeに動画を出していて、賛否両論のようです。

わたしは建築の専門家ではありませんが、これから家を建てるのであれば北海道でなくても高断熱にして、空調効率の高くすべきだとは思いますし、目安の畳数よりも大きめの機種を勧める電気屋さんには明確にNoが言える家がいいです。すべての部屋になくてもいいようにするのは悪くないでしょう。
それでも、1台だけというのはやりすぎだと思います。

建設、気流に関する理論は業界の方々の動画に任せるとして、暮らしの観点から是非を考えます。

音漏れ

専用の通気口をあちこちつけるならまだしも、上下階への送風口などをつけると音が漏れます。電話するときは外に出ますか。それとも家中の人が黙るようにしますか。テレビの音はどうしますか。勉強中はどうしますか。子供が寝たら大人は音を立てないようにしますか。建て売りの場合、事前の内覧では音の伝わり方は確認しにくいです。

テレワーク

真夏に家で焼肉をすることを想定するなら、どんなに暑がりでも冷房ではなくて送風で解決すべきだと思います。どうせい煙は室外に出さなければなりませんし。
ただ、在宅勤務の人がリモート会議をするのに、そばで送風機をがんがん回すわけにはいきません。うるさいからです。そして、熱源が近くにあります。パソコンもつけるし、顔が暗くならないように照明もつけます*1
今後の住宅購入層の需要を狙って、テレワーク用のスペースを確保する間取りが増えるのではないかと思います。夫婦が別々の仕事をしていて、仕事場が2つ必要な場合があります。しかし、予算は急に増えません。すると、限られた面積の中で狭い部屋に区切られるんですよね。
会議のときには扉を閉めたいのですが、空調はどうなるのか、とても気になります。

昼間はひとり

専業主婦(主夫含む)が昼間、リビングでひとりだとしたら小屋裏エアコンはいいのではないでしょうか。家事はリビングだけにとどまらないので家中を動き回るでしょう。
一方、在宅勤務をする人だったらどうでしょうか。他の家族は学校などに出かけてひとりきりだとします。真夏であれば、小屋裏エアコンがいくら高効率だとはいえ、全館冷房するよりは仕事部屋だけ冷房したほうが効率が高いに決まっています。
仕事を怠ける誘惑に負けそうな人は、ベッドがある部屋や、冷蔵庫があるリビングは冷房が効いていない方がいいです。

快適温度の好みの差

これは業者の方の動画でもしばしば取り上げられていますが、お父さんとお母さんと子供で、冷房温度の設定争いをする家族の場合。手元にリモコンがないからあきらめるか、手元にリモコンがあって調整できる方がいいかは好みの問題だと思います。特に寝る時の喧嘩が解決しない家庭では、部屋を分けて個人エアコンをつけるしかありません。

掃除

吹き抜けのてっぺんなどに設置するのは、冷房効率の観点ではいいですが、フィルターの掃除をするときに手が届くでしょうか。頭がぶつかりそうな天井裏にエアコンをつけて、掃除ができるでしょうか。ルームエアコンはルームに設置する前提で設計されています。

突然の故障

もし1台しかないエアコンが故障した場合はどうなるのでしょう。近年は半導体不足による品不足がありました。また、設置業者がすぐに来ないこともあります。すぐ買い換えられるとは限りません。家を買えるくらいの収入があるなら、1週間程度、家族でホテルに泊まるのもありです。マンスリープランなら出費を抑えられます。でも、小さい子供が学校に通っていると難しいですね。

暖房

小屋裏のエアコンで暖房をしても意味がないことは言うまでもありません。小屋裏エアコンのようなこだわりの設計をするなら、床暖房も視野に入っているとは思いますが、エネルギー高騰と原発再開の遅れにより、深夜に床下に蓄熱するという手が贅沢になりつつあります。
電力会社のサイトでは、夜間蓄熱機用の電力プランが廃止されるとあります。代わりは何がいいか調べると「エアコンがいいです」と書いてあります。

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結局、どうしても必要なところには各室エアコンも必要です。で、あそこも必要、こちらも必要と言っていると、いつの間にか各室エアコンに近付いてしまうということでもあります。

*1:Windowsパソコン内蔵のWebカメラよりiPadなどを使った方が顔が明るくなるので、機材の工夫で解決することもできる