報道しない自由の拡大解釈

2023年5月21日、ヤフーニュースの記事に、賛同のヤフコメが殺到している。
署名記事なので陰湿ないじめとまでは言わないが、どぶに落ちた犬をたたいて喜んでいるだけに見える。
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news.yahoo.co.jp

芸能事務所の社長がビデオメッセージで謝罪した。
記者会見といういじめの儀式を経なかったため、社長本人はリスク回避に成功したが事務所に対する炎上の鎮火には失敗した。
社長は、ビデオの中で被害者の保護を示唆する発言をした。
性暴力の被害者とは現在カミングアウトしている者だけではなく、テレビで活躍中の所属タレント全員がその可能性がある。
ところが、自称報道勢力はおかまいなしだ。

週が明けて、事務所所属タレントがテレビキャスターとして様々な番組に出演する。
最初に話題になったのは日本テレビのニュース番組だった。女性キャスターがコメントをしたが、男性キャスターはカメラに映らなかったことで沈黙を保っているという批判がわいた。
この人も被害者である可能性はないのかな、そういう配慮はないのかなと思わざるを得ない批判だった。
批判している人達は、人間である前に、あるいは事務所所属タレントである前に、報道キャスターであれば職業人としてコメントしろと言っている。
ただ、職業人である前に人間であるし、少なくても仲間や後輩が傷つけられている人に対して投げかける言葉なのかなと思わざるを得ない。
そして数人のタレントがコメントを避けた後に、再び日曜日がやってきて、朝の番組で所属最年長のタレントがひとりでコメントをした。

そのコメントで、最年長である自分がコメントするまで他のタレントがコメントするのを待ってもらったという発言をしたところに問題意識を持ったというのが冒頭の記事である。
わたし個人は、コメントしなかったキャスターをかばっているだけなのかもしれないしな、くらいにしか思わなかったが、報道倫理違反というから驚きである。

その主張は、他局と報道内容の口裏合わせをしていたからというもの。

最近、マス「ごみ」による「報道しない自由」が社会問題として指摘されている。
ただ、日本テレビの番組については女性キャスターがコメントをしているのだから、芸能事務所が報道内容に介入したという証拠はない。
視聴者としては、番組としてのコメントは受け取っているのであって、誰が発言したかは関係ない。
誰が発言するか自体は、それこそ編集権で保証されるべきである。

それよりも、所属事務所のタレントがコメントすべきだと主張している者の方がよほどおかしい。

  • 芸能事務所の所属タレントにコメントさせたら、それこそ中立性、客観性が失われる
  • 芸能事務所の所属タレントは被害者か被害者に近い立場である可能性があり、コメントを強要するのは暴力である
  • 元社長個人の犯罪についても、芸能界全体の隠蔽体質についても、所属タレント個人が責任を負うべき問題ではなく、コメントを強要されるものではない

先の書き込みで書いた歌舞伎役者さんの件もそうだが、一度叩く先を見つけたら、寄ってたかって変な言いがかりをつけるのは文化になってしまったのだろうか。
事務所の看板を背負って発言したタレントに対して「放送倫理違反」はないだろう。
何か個人的な恨みでもあるのだろうか。
報じられていることは断片的であり、実は知らないことがたくさんあるのかもしれないが、外野の騒ぎっぷりがあまりにも情けない。

自分たちの闇について触れないところはずるいとは思うが、この事件そのものに対しては隠すことがなく報じるようになったテレビ局。その姿勢は「報道しない自由」を見直し始めているようには見える。出版、裁判所の力を持ってしても変わらなかったものが、広告代理店の影響力低下のためか、崩れ始めているようにも見える。今年あたりは政治家女子48党(NHK党)も騒いでいたが、その影響かどうかはわからない。
ただ、正義が勝ったということではなくて、単にネットの力におされていること、そして、自浄作用というよりは単に混乱しているだけのように見える。

テレビ界は崩れ始めているが、週刊誌やネット世論は調子づいていて、何でもいいから叩こうという感じになっている。

次はどこだろうか。
例えば、新型コロナで大儲けした人たちが心配である。医業界と報道業界はあそこまで好き勝手にやったのだから、その反動は単なる失脚ではすまないと思うんだよね。
2023年5月15日のニュースウオッチ9とかね。
逃げ切ったと思っているのか、「まだ9波が来る~*1」とまだまだやってやろうと思っているのかわからないが、反省するなら今のうちだと思うのだが。

*1:ちなみに、来ないと言っていない。必ず来る。ただし、騒ぐ必要がないし、新たな社会的経済的被害者を生む必要はないと申し上げている