歌舞伎役者さんが世の中を騒がしている件そのものはどうでもいいのだけれど

2023年5月、歌舞伎役者さんの家で事件が発覚した件。
個人のプライバシーに関することは全く興味がないのだけれど、Yahoo!ニュースを見ていると、報道をしているつもりのハイエナが過激な取材攻勢をかけるとともに、謝罪する会社を探して芸能界の悪口を書き始めたようである。吐き気を覚える。

正義面した暴力

性被害への追及のふりをしながら、自分たちが現在進行形で人権侵害を繰り広げる。
スーパーマリオブラザーズの無敵のスターがあると勘違いしているようで、社会正義っぽいことを言っている間は何をしても許されると勘違いしている。
「戦争反対!」と言いながら、東京の繁華街で日本刀を振りかざす者がいたら社会的に制圧が必要だと思うのだが、それよりもひどい。
だって、日本刀を振りかざしても被害は周りの人にしか及ばないけれど、これは一瞬で日本中に届くし、デジタルでずっと残る。
2020年代は、こんなひどいことが当たり前だったと後世の研究家たちは勘違いするわけ。
ところが、警察も手を出せない。

例えばFRIDAYは、関係者の発言ということにして、こんな主張を展開する。
news.yahoo.co.jp

「要するに、雇用関係にない役者さん個人が起こした問題に関しては、松竹では対応の仕様がないと、暗に逃げているわけです。〝適正な対応〟って何でしょうか。私にはわかりません。だったら、中車さんに行なった適正な対応って舞台に復帰させることだったの?って思いませんか。表沙汰になっていないセクハラ、モラハラまがいのことで松竹が把握していることはいくらでもありますよ。大物役者さんたちの対応はどうするの?結局、何もしないでしょうね。何もせずに時が経つのを待って舞台に復帰させる。歌舞伎界も松竹もずっと同じことを繰り返してきたんです」(前出・関係者)

松竹の〝適正な対応〟とは何なのか。説明責任を果たさなくてはならない。

個人の醜聞をなぜ所属企業や興業の開催主が管理しなければならないのか。
逃げるも何も、そもそも関係ないでしょう。
大学生が世間を騒がすと大学が謝罪するのと同じか。
会社は関係ないことを当たり前の世の中にしたいのだが、匿名で汚い記事を出す者にどう対抗していけばいいのだろうか。

芸能人だけの問題ではない

正義のふりしたいじめに興ずる者たちは「悪いことをする奴には会社は近づくな」と言っているわけである。
「反社会勢力には近づくな」は、今日では仕方がないことになっているし、わたしも仕方がないと思う。
ただ、とにかく悪いことをする者をたたけばいいという風潮は、
「悪いことをする奴には会社は近づくな」からはじまって
「悪いことをしそうな奴には会社は近づくな」になっていく。
「更生は信じません、犯罪者は世の中に出てきてはいけません」と、1回失敗したら死ぬまでデジタルタトゥーを焼き付けましょうということにつながる。

今回の事件で、2022年にテレビレギュラーを全降板になった別の歌舞伎役者さんは関係ないはずである。それをまた持ち出してきている。
今回の事件についてあまり情報が出てこないので、誌面を埋められないからである。
こういういじめを放置していると、いくらがんばっても浮かばれない人が出てくる。浮かばないままならいいけれど、こういう人たちは無敵の人になりやすい。何も失わないからである。マスコミも失敗した人も、みんなで無敵ごっこを始めたら、社会が不安定になる。