どこにDX組織を作るか

日経クロステックが、システム子会社改革の連載を開始。
xtech.nikkei.com
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DX人材をグループの中のどこに置いておくべきなのかについては、正直なところ悩ましい。
外から来た異質の人材に組織の中核を担わせるなんて、明治時代のお雇い外国人以来ではないのか。
現代のプロ野球チームの雇われ外国人は助っ人だけれど、DX人材は会社の中心で動かなければならない。
その人材を内製するか、受け皿会社で雇うかで、各社の判断が分かれている。

各社の考えがどうなのかまではわからないが、記事を読んでいる限りは記者の目線は雇用環境の整備にしか向けられていない。
ただ、事業会社に雇われたDX人材の満足度を上げるには、給与、在宅勤務、服装だけでは不十分である。まあ、この後の連載で説明されるのかもしれないけれどね。

本人の雇用条件だけではなく、IT企業にいたらできないことをやれることを保証することが重要である。
そして、事業をやるためには人と予算が必要で、人を雇うにもまた予算が必要である。事業会社の予算制度、調達制度、採用制度をそのままDX案件に適用したら、スピード感が追い付かない。

従量課金のクラウドでトライ・アンド・エラー(とりあえず試してみましょ)をやろうとしたところで、半年後から始まる来年度の投資額を見積もってくださいって言われても投資額なんて誰にもわからない。来年度末は1年半後である。

  • たくさん使われたらいっぱい使う
  • 新しい技術が登場すれば買い物の内容は変わる
  • 失敗したらやめるし成功したら続ける
  • ITサービスの外資依存により、為替の変動で大きく変動する

これを固定額でExcelで表現しろと言われるのが最高の苦痛である。コンサルタントを雇って適当に書いてもらうという手もあるけれど、そのコンサルティング報酬はできれば開発に回した方がいい。
従来の社内部門でも、あまりにも硬直化した予算制度と購買システムではさすがにうまく回らないので、各事業部は隠し財産を持っていたり、お金を引っ張ってくる役員がいたりするのである。新しく作った部門で新参者ばかりであったらその真似はできない。スポンサーが社長か、よほどの有力者でないと、従来の社内部門との予算獲得競争には勝てない。

別待遇の人材を集めるための受け皿企業を作ろうとしているのは、ワンマン企業に多いだろうか。どーんとお金を出してやるから自由にやれ、ということであればのびのびとできそうである。
内製化はそれはそれでノウハウの蓄積には必要なことではあるが、今まで通りのWord、Excelを書いて、稟議と打ち合わせよろしくねと言われたら、みんな辞めてしまう。

受け皿会社というよりは、第2事業会社を作って、本業の第1事業会社と競わせるくらいでないとDXはできないような気がする。ただ、理想は誰にでも思いつくもの。第2事業会社を作るくらい人が急に集まらないという現実もわかる。お家騒動の大塚家具は親子で会社を割ってしまったようなものだから、躊躇するのはわからないでもない。
今始まったことではなく、実は銀行のネット子会社が先駆けだと思う。もう少しで評価が出てくると思うので、日経クロステックさんがおっしゃる「システム子会社の改新」の結果を占う材料になるのではないか。