学ばない客は救われない

ICTシステム構築サービスの話。

昔は、コンピューターに詳しい客は自分でなんでもやるからサービスが売れなかった。技術部門が請負サービスを受託したくて提案しても、平凡な技術者ならいらないからソフトウェアとマニュアルだけ売ってほしいという客もいた。

逆に、自分で何もできない客は業者を頼りにしてきたので、手取り足取り助けてあげることがお金になったので業者が群がった。

今は逆である。

やりたいことがはっきりしていて、よく技術の勉強をしている客には先進技術を紹介し甲斐がある、ひとつやるとすぐに効果を発揮し、利益や費用削減ができれば追加投資の原資も確保できる上に、他にもやりたいことや必要なことが出てくるので追加提案もしやすい。

ところが自分で学ばない客は、予算を取ってくれない、サービスの価値がわからない、決めることを決めてくれない、契約が遅い、あげくに高いと文句を言い出して何でも無料でやれと言ってくる。そんな調子ではITに限らず何をやってもうまくいかない。無駄金だった、失敗したと文句を言う。

能力の高い技術者や、意欲のある業者は学ぶ客を選ぶ。言うまでもない。

下手な業者の営業が、中途半端な値段で、何でもやりますと提案してくる。騙されて契約してみると、技術者は言ったことをやってくれないし、客が言わなかったことも気づいて提案してくれるようなこともしない。提案してくれるのは業者が売りたい製品やサービスだ。これでは今時の金融機関と同じ。

作られるITサービスのつくりも良くない。

このような客だと、たとえ金を積めたとしても、いいサービスを作ってもらうことはできない。

あらかじめ作り込まれた既製品を使うことはできるが、自社向けの特別を作ってもらうには自分たちでもある程度理解するか、自分たち以上に自分たちとその業界を知っているコンサルタントをつけるしかない。

ただ、コンサルタントも業者の一種。理解しようともしない客とは相手をしたくない。コンサルタントの報酬は高い。その価値も理解してもらえないとわかれば、こきつかわれるだけなので、業者としては近寄りたくない。

企業団体は、ある程度IT人材を抱えるべきである。