物流2024年問題

物流の2024年問題で、日常生活に支障が起こるという。
いろいろな人が解説をしているが、いくつか共通しておかしいなと思っていることがある。
例えばこれ。
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「コンビニの棚がスカスカになる」というのは理解できたが、遅配が起こるとも言っている。
長距離ドライバーが不足して、遅配になるのだろうか。

ネットワーク不全で起こる不都合な現象には2種類ある。

ひとつは、需要に対する供給をコントロールできる場合である。
朝の通勤電車で起こる輸送障害は、障害の原因は、悪天候、人身事故、車両故障、駆け込み乗車、線路内立ち入りなどである。
これらは障害の原因によって、遅延が発生する。
原因が取り除かれると、鉄道会社は一時的に輸送力を落とす。駅への入場制限、減便、打ち切り、運休である。
ただし、しばらくすれば正常に戻る、というか、正常に戻すことを前提にそれらを行うため、やがて解消する。
乗客は定時までに会社に行きたいなど、急ぐことをあきらめたくない者もいるが、鉄道会社側がコントロールをしてしまうため、駅員に詰め寄ってストレスを発散する乗客はいるが、営業継続断念につながる暴動に発展することは現代では再現しないだろう。日本人がおとなしくてあきらめるということも、輸送障害解消の役に立っている。

もうひとつは、需要に対する供給が追い付かない場合である。
銀行が倒産するときには取り付け騒ぎというものが起こる。
もたもたしていたら預金が引き下ろせなくなるとわかると、預金者は殺到してあきらめない。
また、数年前には携帯電話のメールを用いた「あけおめメール」なるものが輻輳と呼ばれる大規模通信障害を発生させていた。
お正月になった瞬間にあいさつが届かないと意味がないので、ネットワークが遅いと思っても利用者は再送を繰り返してしまう。
現在は、事前の告知と、通信会社側での通信制御を行い、鉄道と同じようにコントロールするようになっている。
鉄道についても、東日本大震災のときに首都圏の鉄道は全域で営業を打ち切った。毎朝の通勤をさばいている鉄道会社にも、当日のパニックは想定外でコントロールしきれないと考えたのだろう。
このとき発生するのは遅延ではなくて、突然停止である。
水道の給水制限については輸送力自体には問題はないので、断水時にはぽたぽた流れはする。しかし、商業発電の電力不足の場合は変電所で安全装置が働き、ブラックアウトを引き起こす。

2024年問題の場合は、供給が追い付かず、自動運転技術を待たなければ供給を回復する見込みもない。
ここで、翌日配送だったものが翌々日配送になる? よくわからない。

郵便局で、土曜配達をやめたところ、月曜日が苦しくなっただけだという話が実績としてある。
郵便の配達はまだ近距離配送で長距離輸送ほど深刻な問題ではないようだが、
長距離輸送で、1日分の荷物の一部で積み残しが発生するとする。翌日になったら荷主が勘弁してくれるわけではなく、さらに積み残しが増える。それを数日続ければ、4つの可能性がある。
・隠れ残業
・運賃の高騰
・輸送事故(疲労による交通事故、荷物の紛失、荷物を捨てるなどの不正)
・荷受拒否
ここに遅配が入るのだろうか。遅らせたところで解決にはならないのである。

鉄道貨物を今より大胆に復活させれば、5つ目の可能性として、遅配はすれど輸送力が安定するかもしれない。トラックよりは時間の融通が利かないからである。ただ、鉄道貨物にも設備には限界がある。鉄道業界だって人手不足である。だから、短期的には期待できない。

まずは大幅値上げだろうか。どの大手が最初に言い出すのか。
誰かが逮捕されるまで隠れ残業が続くという説も有力である。