PASMO 次の戦略

 「PASMO」「オートチャージ」といったキーワードでこのブログに来る人が増えてきた。ホットな話題なのだろうか。
 民営交通は巨額な設備更改をしてICカード乗車券を導入するわけだが、この後にどのような展開が予想できるだろうか。磁気券減少によるコスト削減や切符売り場混雑解消、運賃収受業務の部分委託、電子マネー市場への参入だけではSuica事業者の後追いでしかない。
 他の業界を参考にしながら、いろいろ考えてみる。
 企画券が増えるだろうか。auダブル定額のように上限付き定額制を導入なんてことはあるだろうか。JRは運賃のレンジが広すぎるので、定額制は設定しづらく、反対にバスや地下鉄なら設定しやすいだろう。ところが、携帯電話は寡占市場だが、鉄道は少しくらいサービスがかわっても選ぶ路線を変える人は少ないからメリットがほとんどない。定額制はICカードでなくても導入できるが、通勤・通学客向けの全線定期を出しているのは都営バスくらいなもので*1、高頻度客優遇という考え方はこの業界にない。ただ、後発の第三セクター(東葉高速りんかい線)は、運賃が高めに設定されているから、競合との差別化を図るチャンスである。
 スポット割引は実現にあたって障害が小さいだろう*2。時差回数券、土日回数券を出している会社は、普通運賃でも割引を行えばいい。首都高がやっているくらいだから、見習わなくてはならない。オフピーク通勤誘導が推進できよう。
 あとは、会社間連携の促進。これが本命ではないか。新たな直通運転を開始しても、乗客は、複雑な自動券売機で、難しい切符を選ぶことにとまどうことはない。最終的には会社間で提携してしまえということも起こるかもしれない。京王と小田急のように、営業路線が隣接している会社の場合は、合併してしまうと片道あたりの初乗り運賃徴収が1回になってしまって減収になってしまう。でも、東武と東急が提携もしくは合併したらどうなるか。三和銀行三菱銀行だって、住友銀行三井銀行だって、スクウェアエニックスだっていっしょになってしまったのだから、これくらいありである。西日暮里乗り換えのJR-東京メトロ-JRのルールでSuicaが前例を作ったので、伊勢崎線-日比谷線-東横線も、東上線-副都心線-東横線も、東武+東京メトロ+東急の合算から100円引きにしてみる。初乗り運賃は3区間とも得られてJRに対する東横線の競争力は一段と増す。東京都交通局は、将来の民営化にあたって、東京メトロにこだわることはない。京成グループ北総鉄道と提携すれば、空港アクセスのシェアをあげられるし、北総線の沿線住民も増える。これらは空想に過ぎないが、鉄道会社経営者にとっては、提携の選択肢が大きく広がる。
 バスだって、工夫しがいがある。駅前の路上駐輪に悩む自治体は、特定のバス停経由で電車に乗り継ぐ客に補助金を出す。還元方法は運賃割引でも、事業者が出すポイント積み増しでもよい。パスモ社に頼めば何とかできるのではないか。会社間で乗り継ぎ割引をしてみる。これもパスモ社はなんとかしてくれないのだろうか。

何が出てくるか、楽しみである

*1:東京メトロの全線定期券は1往復の通勤・通学では損してしまう

*2:実現する可能性が高いとは言っていない