オリンピック中継の無駄

ソチオリンピック。オリンピックの開会式と言えば、今やなくてはならないものが過剰解説。
今回もずーっとしゃべっていた。開会式の演出は、舞台と役者と音楽で構成され、いずれも時間をかけて準備されてきたものだと思うが、NHKは音楽を無断でしぼり、代わりに自局のアナウンサーに活弁士のようなことをさせる。音楽は添え物ではない。メインの出し物である。
前回のときも「アナウンサーは黙れ」という記事を書いた。
http://d.hatena.ne.jp/o1y/20120813#1344860284

NHKN響演奏(演奏中のアナウンサー感想つき)や、NHK紅白歌合戦(歌唱中のタレントコメントつき)、天皇陛下のお言葉(ご発言中のアナウンサー解説付き)をそのうちやるかもしれない。だって、偉大なるオリンピックの中継でかぶせるんですよ。どれだけ自分のしゃべりに自信がおありなのか。

と書いたが、よく考えたら紅白歌合戦はすでに副音声でタレントコメントつきを実施済みである。主音声と副音声がそのうち逆になるのではないかと危惧しているが、現在の紅白の主副のポジションが普通と考えるのであれば、久保田アナウンサーの解説は副音声でいい。なぜ音声多重放送ができないのか。
あるいは、あらかじめリハーサルを見て、台本に沿って解説をしているのであれば、データ放送で字幕を流せばいいではないか。
たぶん視聴率競争の都合上、解説なしでは視聴者が異文化の演出を理解できず、開会式の視聴率が下がったら困ると考えているのだろうけれど、視聴率が取れないから開会式の中継を止めろという人は今のところどこにもいないと思うし、視聴率が下がれば放送権料も割引になるのではないかと思う。多少下がっても公共放送の責務として開会式はアナウンサーの解説つきではなく、開催国の演出を尊重して放映してほしい。

日本人びいき

外国人がたくさん日本に住んでいるのに、一貫したテーマは日本人がんばれである。確かに多くの日本人にとっては日本人の結果にしか興味がわかないと思うが、日本人が勝った負けたにだけ一方的に見所を絞られるのはなんだか悔しい感じがする。日本人が登場したレースの直後は必ず中継してもらえないというのはかわいそうだ。地上波デジタルは3セグメントあるのだから、監視カメラのようにひたすら流しっぱなしというチャンネルを作ってもいいのではないか。
一部の民放が流している日本人紹介映像はいらない。そういうものはネットに置いてもらえれば興味のある選手の分だけ勝手に見る。4年間必死にがんばりました、という思いは本人と関係者が秘めていればよいことで、視聴者にまで無理矢理共感させる必要はない。日本人がんばれ映像の後で日本人が敗退するところを見ると、普通だったら「がんばったね」としか思えないようなところで後味の悪い悔しさだけが残る気がする。
日本人紹介映像を見ていると、TBSボクシング試合前の1時間前振り映像を思い出してしまう。

準備の空回り

開会式の解説も、日本人びいきも、何ヶ月もかけて準備してきたのだろうが、視聴者はもうそういうものは求めていない。単純に国際映像を買ってきて流してくれればそれでいい。オリンピックは何も加工しなくても十分魅力がある映像である。