時代は速くなっている

 仮想通貨なんて長続きしないからやめた方がいい、という話をよく聞きます。
 SDG、サスティナビリティというのが流行っていて、その観点から言うと仮想通貨、すなわち暗号資産のうち、ビットコインは永続的ではないと思います。さらに言うと、遠い将来には確実に終わることが決まっています。
 でも、遠い将来に終わるといえば、太陽だってすんごくすーーーんごく遠い未来には燃え尽きるとされています。この世において永遠に続くこと、それは「かつて過去が存在した」という事実だけです。
 大英帝国の繁栄は100年続きました。アメリカは半世紀にわたって繁栄した後、日本に経済大国の座を追われそうになりました。日本は高度成長から四半世紀経って失われた20年を経験し、中国に経済大国2位の座を渡しました。高齢化、覇権主義などが課題となる中国共産党は経済成長を続ける途上国の座を維持し続けられるのでしょうか。
 貝殻はかつて貨幣の機能を持っていました。今でも発掘できます。紙幣もある程度は保存が効くと思います。でも、電子マネーは後世に発掘されるでしょうか。不揮発性メモリーに保存しても、読み出しが難しいのではないでしょうか。テクノロジーはどんどん複雑になり、開発のサイクルが早くなり、古いものはすたれていきます。
 写真や動画の解像度が上がれば上がるほど、容量が増えていきますが、データの読み取り速度はそれほど速くなっていません。わたしたちは最近紙や磁気テープを使っていませんが、ハードディスクやメモリーで、昔の思い出を長期保存できるのでしょうか。IT業界はデータは爆発的に増えると言っていますが、古いデータが壊れないという前提で話をしているような気がします。
 文学も音楽もファッションも、どんどん新しいものが作られるか、古いものが見直されるかのどちらかです。
 レコードは今でも大事にしている人がいますが、MD(ミニディスク)はいまどこに再生機があるのでしょうか。
 人類は、過去作ってきたものよりも、長く残るものを作れなくなっているのかもしれません。そして我々が住む社会ですら永続的ではないとして、サスティナビリティが関心を集めているのです。
 するとですよ、これから生み出される発明は、長続きしないことが当たり前なんです。
 するとすると、長続きしないから手を出さない、というのは、今後盛り上がる可能性のあるものにはもう手を出さない、ということになります。
 投資であれば、バブルだと言われようが、それに乗らなければ投資はできないのです。今買っておけば50年後も安心安全なんてものはもうないのです。次のものに乗り換えていく、それだけです。