現金給付

 コロナウィルス危機における現金給付の議論は、経済対策なのでしょうか。困窮対策なのでしょうか。
 困窮対策には生活保護がありますが、生活保護はいったん申請したら財産を処分しなければならないので、商業をやっている人は復活できません。ホームレスか、通販の倉庫係か、流通の配達員くらいしか選択肢がありません。非効率な産業は縮小していくべきですが、個人のスキルを全部ゼロリセットして非正規雇用してもらいなさいというのは乱暴だと思うのです。
 商店街がますますシャッター通りになり、生活物資のライフラインは失われ、家から遠い大手資本の店舗で個性のない商品しか選択できないようになるわけです。駅前から銀行がなくなり、本屋がなくなり、パチンコ屋も減ってきましたが、残るのはコンビニくらいでしょうか。国道沿いは、今はガソリンスタンドの空き店舗が増えていますが、大手飲食チェーンの店舗も撤退して、いくら走ってもお店が見つからない状態になるでしょう。
 パンデミックの場合は、パンデミックが収束したときにみんなが自由に使えるお金を持っていれば需要が復活するので、困窮対策として一時金配布をすべきなのだと考えます。
 そして、これからの時代の経済対策は、商品券ではなく、貯金に課税するしかないと思うですよね。GDP成長率などからわかる実体経済から株式の値動きが乖離しているのはインフレ政策になっているという説もあるようです。財政出動というのはインフレ政策とは違いますが世の中のお金の量を増やしているので似たような効果があるのかと思っています。
 働いて得る財産は金融商品や不動産で貯めるものであって、現預金というのは政府から配られて「社会を回すために使ってください」と依頼されるボランティア参加権みたいなものになっていきます。すぐに使わないと価値がなくなるよう設計されます。金利が上がってしまうと財政が破綻してしまうので日本銀行券が電子化されてうまいこと期限付きの金券のようなものになっていくでしょう。
 今回の現金給付の議論が、お金の存在意義が変わるきっかけになりそうな気がします。