小規模事業者の撤退
新型コロナウィルスで壊滅的な被害を受けている業種業態は、非常事態宣言が解除されれば復活するわけではなく中長期的に難しいのだろうなと思う。
ただちに業種が丸ごとなくなるというわけではなく、大資本とニッチだけになる。
遊園地は、オリエンタルランドとUSJは安泰だろうが、地方の遊園地は危うい。
ホテルは、地方のビジネスホテルはチェーンに吸収されるか、廃業となる。
飲み屋も、チェーン店ばかりになり、密閉密集密接の3密(集近閉)の象徴たる、小規模飲食店が密集した歓楽街はなくなる。
夜の飲食へのダメージも大きい。地価の高い東京でお店を続けるには、昼間働くためにベッドタウンや遠距離から上京してくれた人に夜も消費してくれることが望ましい。でもテレワークが浸透したら「え、わざわざ東京で会うんですか」という発想になってしまう。
以前から大手開発業者によってどこに行っても同じチェーン店ばかりという状態が目に余る状態だったが、いよいよそれしかなくなるのではないかと警戒しなければならない。場所を変えても変えてもまた見たあれしか体験できないとなると、バーチャルや家庭内消費にますますシフトして、街に行って遊ぼうという人がいなくなる。
外国人観光客にとっての魅力も維持できるか。日本人が知らない隠れた穴場がSNSで共有されているようだが、みんなチェーン店になってしまうと、1か所行けば十分ということになってしまう。あちこちめぐって消費してもらいたいところだが、何をもって外国人観光客を日本に呼び寄せられるのだろうか。
駅前に立つのは何か
駅前の一等地にあるものを思い浮かべにくくなっている。例えば、小さい頃に住んでいた地元の駅前を思い出してみる。
- 金融機関の支店
- スーパーマーケット
- 飲食店
- パン屋
- 喫茶店
- 家電量販店
- 商業ビル
- ゲームセンター
- 書店
- 花屋
みんなショッピングモールやロードサイドにあって、駅前にある必要がない。
駅前にあってショッピングモールに入れなかった業態が夜の歓楽街とパチンコ。今回、そこをウィルスが潰しにかかっている。
オフィスビルの建設は進んだが、駅前にコンビニしかなかったら働く街としては魅力がない。わざわざ通勤電車に乗ってまで来る価値があるのだろうか、となる。企業の事務所が入居しても、打ち合わせが済んだら帰ってしまうようになるのではないだろうか。
駅前の衰退というと地方の話かと思っていたが、都会の駅前であっても、空洞化の恐れがある。地価は大幅に下がるが、不況のときは空き地が転々と発生しながらもまとまった資金を入れて再開発をする資金が集まらないので、土地の収益力が高まらない。
MaaS基地にするしかない
街に行って人が集まり遊びをし、食事をする。会社や学校の帰りに駅前で買い物をする。こういうライフスタイルは衰退するのだろう。
テレワークや自動運転が普及すれば、人々は必要なときに必要な場所にピンポイントで移動し、用事を済ませたら家に戻る。そういうものは駅前に集積する必要はない。道が狭い駅前は自動車を止める場所がなくて不利である。
駅の目の前にあるバスターミナルやタクシープールは必要だろうか。昼は利用者が低迷しているし、乗りたいときには来ない。2018年、名古屋駅前のモニュメント「飛翔」が撤去されることが決まり、2020年から解体が始まるそうだ。駅前を再開発したいというのはわかるが、バスやタクシーにこれ以上土地を提供しても、効率的には使えないのではないと思う。
それならば、少し不便な3つ先の駅にMaaSの拠点を確保してもらって、改札を出たら1分で乗れるようにしておいてもらった方が便利である。駅前に店がなくても、ロードサイドに駐車場が広くて品揃えのいい店にいくらでもアクセスできるから、