路線バスの情報提供がお粗末な件

 三密を避けて、すいている長距離バスを見つけて予約を取ろうとした。
 電話ではなくてWebで探してみた。しかしがっかりだ。
 以前に比べれば改善しているけれど、旅行者の視点に立ってサイトを作ってほしい。
 テレビのニュースを見ると、COVID-19の影響で観光需要を中心にバスは大打撃を受けているというが、本当に集客するつもりがあるのだろうか。
 減便して雇用調整するというのであれば、遠くの県の会社と人を交換してみたらどうか。乗車待機になっているよそのバス会社の運転手さんに来てもらって、自分たちのバスを予約して、乗ってもらってみてはどうか。バスの運転は得意でも、土地勘のないところで他社のバスに乗るのは大変だと思うよ。なぜこの業界はサービス改善ができないのか。以下はいくつかの大手サイトや地方バス会社を見た感想であり、改善に取り組んでいるところもあるとは思うが似たり寄ったりだと思う。

  • 1か月前から予約開始としておきながら、1か月前の何時に予約受付を開始するのかどこにも書いていない、あるいはとてもわかりにくいところに書いてある。Webは24時間やっているけれどまだ窓口営業の感覚なのだろう。
  • 乗車場所は地図で示しておきながら、降車場所の地図はない。近年、都市間バスは駅から駅を結ぶことが多いが、降りたところから列車に乗るまでどれくらい時間がかかるのか書いていない。
  • 一方、駅前で降ろされたからといってすべての客が目の前にある駅に向かうとは限らない。例えばレンタカーを借りる者もいるだろう。旅館の送迎が来るかもしれない。別の会社の長距離バスに乗り換えるかもしれない。しかし、バスは知らない場所に降ろそうとする。地元の土地勘のある人が都会に行くためだけに走らせていては需要が限られると思う。
  • バスターミナルに乗り入れる停留所では、くどいくらいに乗り場番号を書いた方がいいと思う。「〇〇駅5番のりば」などのように。そもそも旅行者には北口なのか南口なのかもわからない。
  • なぜ路線バスは停留所ナンバーを導入しないのか。路線番号もちゃんとつけた方がいいと思う。
  • 路線案内のページ、チケット予約のページ、地図検索のページ、時刻検索のページが全部ばらばらなので、全部見ないと必要な情報が入手できない。
  • 「この路線は途中の停留所で系統を打ち切るので、いったん料金を払ってください」なんだそれ。系統打ち切りはバス会社の都合であり、なんとかできないのか。
  • 乗車停留所の近くのトイレの情報がない。バスタ新宿のような日本を代表するバスターミナルでさえ、当初停留所だけ作ってコンビニやトイレが不足していたという話もある。旅行者の動線を全く気にしない。
  • 停留所の地図の大きさが控え目。スマホとPC併用にしようとすると横幅が限られた地図を使うしかないのだが、GoogleYahoo!のマップを使う方が親切なのではないか。
  • 座席指定の便で、予約操作を途中まで進めないとバスの座席マップが見られない。これは鉄道にもよくあることだが、なぜ画像1枚貼るのを面倒くさがるのだろうか。
  • 支払方法が増えました、というアピールは見られるようになったが、そんなことよりも、まずは前払いか後払いかちゃんと書いたらどうなのか。事前に決済が済んでいるかどうかよりも、乗車券の確認を受けるタイミングがいつなのかが知りたいのである。自分たちが料金を徴収して終わりにしないでほしい。

 なお、Webサイトだけでなく、バス停での案内ももう少し丁寧にすべきなのではないかと思う。

 観光バスは必死だけれど、路線バス業者は「鉄道がつぶれても最終的にはうちはつぶせない」という甘えがあると思う。しかしこれではMaaSが来ればあっという間におしまいだと思う。駅前バス・タクシーロータリーは全部つぶしてMaaSステーションになる。レンタカーの営業所を大きくしたようなものに生まれ変わる。スマホで自動運転車の予約なんて無理だなあ、という人だけが「ああ、駅からちょっと歩くけどバスもまだあるかもよ」と言われて使う。むかしは1時間に1本出ていたのになあ、と懐かしがりながら、急がない人が乗る。そういう乗り物になる。