アウトレットモールの落日

徹底した現金主義

ICカードスマートフォンの決済 (クレジットカード以外のキャッシュレス)が浸透していない大型商業施設を発見。それはアウトレットモールだ。
御殿場のプレミアムアウトレットを取材。かつては、都会から観光がてら、地方のアウトレットモールに車で出かけるというレジャーが存在したが、首都圏からの鉄道、バスのアクセスを充実させていたかに見えたアウトレットモールが、実は今や都会の客を相手にしていない。
御殿場を開発したのは三菱地所だが、三井系の「アウトレットパーク」も含め、QRコードアプリの店検索で地図表示させてみると、大量に店が出店しているにもかかわらず数店程度しか対応していないことがわかる。
そのほとんどはコンビニか、全国ブランドの店だけ。モール内は普通の商店街とは違ってペイメントの営業が入り込めないので永遠に対応しそうにない。
しかし、それでもいいと思っているのである。
今や主要なターゲットは都会ではなく、地方からの客か訪日外国人。この人たちは日本のキャッシュレスに対応していない。だからPayPay旋風とも関係ないし、今どきSuica使えないの?と言ってくる人は皆無なのである。
それでも、訪日第1位の中国はキャッシュレス全盛である。食事を買おうとしたら例えばメニューに「850円+税」と書いてある。増税前でとりあえず外税表示をやっつけで間に合わせた感がにじみ出ているが、外国人に918円で、現金オンリーですと言い切ってしまうあたりが時代錯誤もいいところである。
空港で両替した千円札を出すと、現金しか取り扱えないレジで、多少投資されていても自動釣銭機がついている程度。そこから店員はお釣りを取り出す。50円玉に10円玉3枚、1円玉2枚を現地通貨で渡してしまう。自分が海外に行った時にそれをされたいかどうか考えてみたことがないのだろうか。

本当に安いですか

値札だけは50% OFF、70% OFFなどと書いてあるが、本当に安いだろうか。本当にアウトレット商品なのか疑惑は正直どうでもいいと思っていて、アウトレット専用品が並んでいても文句はないのだけれど、アウトレットではないし安くもないということであれば、なぜアウトレットモールに出店しているのか不思議である。
これも、普段日本での買い物慣れしていない人がターゲットであるならばはじめのうちは全く問題ない。普段見かけないブランド品が並んでいる、そしてそういう店が並んでいるという状況に浸っているだけで満足できる。
でも、都会のショップに行き慣れている人や、ネットで値段を調べられる人が見たら本当に魅力ある値付けと品揃えなのだろうか。

あまり考えずに並べても許されるというだけの店

かつての客にも、いま主流のインバウンドにも買いにくい。安くもない。ということであれば、低コストの内装やディスプレイでも許されて、アウトレットであるがゆえにとりあえず並べておくだけでも勘弁してもらえる店ということでしかない。
ブランド店は広告代わりとして出店しているだけで、利益度外視でもいいかもしれない。しかし、それで本当に今後も客が来るだろうか。団体観光客のバスも、大型ドラッグストアーやドン・キホーテの方が使い勝手がよかったりするのではないか。そして百貨店もインバウンドの取り込みを始めて久しい。
観光客はたくさん来るが、これでは売上が上がらない。モール運営者は儲かっても店が疲弊してしまう。

他の業態も同じ

ショッピングモールに限らず、異業種から不動産業に参入したモールや、もともと不動産業者が開発したショッピングセンターの類が危ない。
イオンモールやアリオもそうだし、高速道路のサービスエリアもそうだ。