現金以外不可
QRコード決済を2019年9月末で廃止するとしたコンビニ最大手さん。
わたしもおにぎりクーポン目当て、というわけではないが、その決済サービスに千円だけチャージしていて、1回試した後、残高があった。
廃止が発表されて使い切らなければと思い、1回コンビニで買い物をしたのだが数十円だけ残ってしまった。
明くる日、これをちょうど使い切る方法はないかなと思い、駄菓子コーナーを中心に店内をくまなく探したがどうも2円とか5円とかが残ってしまう。
それならと、残高きっかりで買い物をすることをあきらめて、かごに色々入れてレジに行き、
Payの残高を使い切り、残りを・・・
と説明を始めたのだが、店員さんは聞かずに商品バーコードスキャンを続けているので「大丈夫かな」と思いつつ
残りを電子マネーで払いたいです
と言ったら店員さんがピクッと動いたのが見えた。
何か変なこと言ったか、と思ったが、こちらの主張は伝えたので待っていると、店員さんは迷いながらレジのキーを押し、
ぴーーーーー
という音がした。
残高不足のエラー音のようだが、客向けの画面には何も出ないので詳しくはよくわからない。
このコンビニのレジは、電子マネーを何枚も使い続けることができる仕様になっている。税金の支払いのために大量のICカードを持ち込む人もいると言われ、それがこの小売チェーンの電子マネーを普及させたとも聞いたことがあるが、その噂が本当かどうかはわかならいが、継ぎ足し払いが可能というのは事実のようなのでQRコード決済でも同じようにやってくれるのかと思って待っていた。
操作がわからないというよりは、レジ待ちの列が長くなってきたことに店員は焦りを感じていたようだ。
3回ほど再挑戦を繰り返し、「一から商品読み取りをやりなおします」と言われたので、さすがにまずいかもと思い、スマートフォンで残高を見たら0になっていた。
「今からやり直すのはいいが、残高はどうなってしまうのか」と聞いたが、答えが返ってこない。ここまで来て
では残高は現金で・・・
と言い出したので、
説明したでしょ。ちなみに財布は持ってきていないよ
と言い返した。
困った店員は隣の人に頼り、さらには店で一番レジ操作に詳しそうな人が登場。
詳しい人の説明によると、やはり
ペイでは、現金しか併用できない
ということだった。
現金以外併用不可であれば、会計を始める前にそう言ってほしかった。
そういえば、ペイの廃止を発表したが、払い戻しをすると発表しただけで、残高を使い切りたいと思っている人には積極的な告知がない。払い戻しや不正使用保証は決済事業者がすること。残高使い切りは利用者がすること。この決済事業者は自分に課せられた義務に精一杯で、客のことまで頭が回っていないのだ。
これを書くにあたってFAQを見たら
現金との併用にて使い切ることができます。
と書いてあるのを確認したが、FAQのページを自分で探す必要があった。
店側では穏便に済ます方法を考えてくれた。最初の決済では架空の現金支払いがあったことにし、続けてわたしが未払いの分を架空の商品をでっちあげ、わたしはそれを電子マネーで決済することにした。レシートは2枚もらえたのでこちらは領収書をもらえたので問題はないが、店側の会計処理はどうなっただろうか。
キャッシュレスを推進するふりをしておいて、何か例外が発生すると現金を要求してくるのは困る。キャッシュレスは現金の置き換えというシステム設計はそろそろやめてほしいものである。電子マネーと現金、クレジットカードと現金、QRコード決済と現金が併用できるのであれば、他の組み合わせができない理由が特に見当たらないと思うのだが、なぜなのか。
他のペイが使えない
現金以外併用不可で苦しんだ店に1週間後に行ったところ、廃止予定のペイの大型横断幕が撤去され、店内はPayPay、メルペイ、LINE Payのロゴであふれかえっていた。8月12日から始まった3社合同キャンペーンであるが、切り替えの速さには感心させられた。
それなら、さっそくLINE Payで決済してみようと思ってスマートフォンを取り出した。しかし、スマートフォンでLINE Payを起動しようとしたところエラーで開けない。
3度やってもだめで、自分の会計の番になったので、その場は電子マネーで会計した。今回は店員に待たされることも店員を待たすこともなかったのでよかったが、起動しなかったことだけは納得がいかず、店の外に出て再挑戦したが再び失敗した。
ここで、もしかして、と思いつき、WiFiを切ってみた。系列のスーパーで登録した無線LANのアクセスポイントをスマートフォンが自動的に拾っていた。
そして再度アイコンをクリックすると、普通に開いた。
たまたまわたしの端末だけだったかもしれないが、結果的には他社QRコードのキャンペーン参加を妨害して自社系列電子マネーを使わせた形となった。
今回はクーポンがほしかったのにな。
本当に、たまたまだったと信じたい。信じている。でも同じ店だし。
FinTechはユーザー体験の変革です
金融ではFinTechが本格化。最近のトラブルを見ていると、金融関係の人は、先進性のアピールやビックデータの活用の手段としてしか思っていないのかもしれない。しかしXTechの本質は圧倒的なユーザー体験を通じて業界秩序を破壊すること。ユーザー体験にもう少し気を使って欲しい。上に書いたようにお店の責任ではないのに嫌な経験が続くと顧客は離れてしまう。顧客購買情報の活用やクーポンの配布というのは本質を理解してからにしてほしい。
キャッシュレスは進む。増税時のポイント還元が始まり「どうしてここでは現金しか使えないの」というお客が増えてくると思う。このコンビニに限らず、BtoCの現場はどういう対応をするのだろうか。店頭になんとかペイのステッカーを貼るのを目的にせず、スマートに会計できてポイントを配る基本動作を確実にできる店が生き残る。