節約するなら現金って、本当ですか

 財布は薄型のものにして、小銭はあまり入らないが、カード類はたくさん入るタイプにしている。現金はなるべく持たないようにして、もし現金で決済してしまったら通勤などの移動ルートに銀行の支店を挟むようにして、なるべく早く小銭対応ATMに小銭を飲み込ませるようにしている。なぜなら、現金は使途不明金が絶えないからだ。

 それでもある日財布を開けたら、2,000円ほど足りない。そして、見覚えのない10円玉が3枚も入っている。財布の持ち主が知らぬ間に紙幣が減ったり、硬貨が増えたりするものだろうか。でも実際に起こっているように見えた。

 家計簿をつけたらどうか? いや、ほぼリアルタイムでつけている。個人向け家計簿サービスのMoneyforward MEを使っているので、買い物をしたら1日以内にはクラウド上に履歴が残る。それは自動だ。明細だけでなく、月の支出の内訳や残高の増減も自動的に計算される。モバイルSuicaを定期券にしないポリシー上、ICカードは時々スマートフォンにかざさなければいけないし、Suicaの仕様がいけてなくて鉄道以外は「物販」で記録されるのが残念だが、鉄道の履歴を見ながら「昨日A駅からB駅に移動中の買い物だから、これは駅ナカでそばを食べたときのものだ」のように推理が可能である。

 しかし、現金はそうはいかない。買い物をしたら必ずレシートを残さなければいけない。現金で買い物をしなければならない場合は前日から悩み、回避策はないものか考える。それでもやむを得ないときは、できるだけ小銭が少なくなるように商品を選ぶ。普段は財布に小銭を入れないか、500円玉ひとつしか入れない*1ので、もしそれ以上増えたときはその時の光景を懸命に覚えておく。さらにレシートをもらって大事に保管。あとで手で記帳するよう気をつけている。

 ところが、気をつけていたのに2,000円弱足りないのである。何に使ったのだろうか。昨晩の献立が思い出せないときのように、思い出そうとすると頭の中には不快感がわく。前回ATMに行ったのは何日前だろうか。調べると5日前である。たった5日間の間に2,000円弱使ったことが思い出せない。失った金額の問題ではない。記憶のトレーニングには悪くないが、記憶力のなさにストレスを感じる。

 あとでわかったのは、忘れていた支出は2回で、実際に使ったのは1,170円だということ。

 最初の出費は、カフェで払った970円。予定になかった場所で休憩することになり、普段の支出性向とは異なる支出となった。レシートが財布にあってわかった。

 次の出費は、ショッピングセンターの駐車場代だった。店舗利用したので割引を受けたが時間を超過したため200円の請求が発生したのである。現金を持っていない生活で、駐車場出口の自動精算機で突然百円玉を要求されると、あわてる。千円札を取り出して機械に入れ、受け取った800円の釣りを車に置き、ゲートの前から移動することに専念。そのまま、置いたことを忘れていたのである。

 今回はレシートが最後の歯止めになったが、思い出せない支出は年数回発生する。

 つまり、いくら管理や節約に励んだところで、想定外に発生した支出は、管理できないし覚えてもいない。

 

現金では無駄遣いをやめても節約できない

 現金派の人たちは、現金のほうが節約できると主張する。クレジットカードやオートチャージ機能付き電子マネーは使える額に制限がないので歯止めがきかない、現金なら財布に入っている額しか使えないという。しかし、現金だってATMに行けば際限なく使えてしまう。

 買い物をしたくなったときに財布の中身を見て浪費を思いとどまる、ということはあるかもしれない。しかし、いくら意識的な無駄遣いをやめても知らぬうちに財布からは現金がなくなっていく。本当のところは知らぬうちではなく使ったことを覚えていないだけであるが、記憶に残らないのであれば知らないのと同じである。

 付き合いもあるし、ハプニングもある。お金の管理に合わせて日々の行動まで計画しても、すべての支出を計画通りに行うことはできない。本当に支出を管理したいのであれば、使途不明金をなるべく減らした上で、全体の支出割合を分析すべきである。

 そもそもお金を貯めるのであれば、財布の中身だけでなく預金残高もチェックしなければいけないはずである。預金は現金ではないが矛盾していないか。そして、財布も預金もチェックしなければならないなら、家計簿サービスで一元管理しなければならない。家計簿ソフトを使っていれば、現預金だけでも、そこにクレジットカードや電子マネーが加わっても同じである。4月消費、5月引き落としであっても、家計簿ソフトは4月の支出として収支報告をしてくれる。

 

小銭が苦手で株を売りました

 先日、流通小売の上場株を売りました。理由はいくつかあるのですが、株主優待のキャッシュバックが苦手でした。

 キャッシュバックの案内が郵送で届いてからすぐに店に持っていくと「まだ引き換え期間が始まっていません」と断られたことがありました。準備ができてから案内を出すべきだと思います。引き換え用紙には押印欄があるのですが、今どき必要でしょうか。

 そして、キャッシュバックの手段がその名の通り現金でした。半年間における購入額の数%相当を現金でもらえるのですが、例えば「3,997円」のような、あともう少しでちょうどの金額だったことが何回か続きました。

 普段の買い物はキャッシュレスを使うようにしつこく勧誘してくるにもかかわらず、キャッシュバックのときは「袋をくれ」と言いたくなるようなほど大量の小銭をくれます。引き換え場所のサービスカウンターにある機械は店員が操作する自動払い出し機のため「3円あげるから4,000円ちょうどにしてくれ」というようなお願いができません。自動払い出し機にするとうれしいのは、現金の過払いや紛失のミスを軽減できる店側であり、客には小銭が少し早く出てくるくらいの利点しかありません。いや、ベテラン店員の方がレジから小銭を取り出す時間は早いかも。

 店内には、グループ子会社の銀行ATMがあります。この銀行はとても使い勝手がいいのですが、小銭は銀行店舗でも預かってくれません。自分たちがなるべく扱いたくないものを客には渡してしまうのはなぜでしょう。

 サービスカウンターのレジを電子マネーチャージ対応にするか、電子クーポンにすべきではないでしょうか。

*1:お釣りが998円です、あ、500円玉切らしていまして、というときに半日くらい立ち直れなくなる