空港バス

羽田空港直通の高速バスを観察。○○の便は混んでいますか?という質問の投稿がYahoo!知恵袋などに散見されるので、わたしも情報提供に協力。

新浦安駅

千葉県の新浦安駅。7時の羽田空港行きを待つ客は10名程度。リムジンバスから派遣された荷物運び要員が2人。しかし、乗客から聞かれるまで何も声を出さない。
バスが近づいてきてようやく「羽田空港行きです」と声掛けを始める。声掛けの目的は荷物を預かる客を探してバスのトランクに収納することであり、乗客が知りたいことを教えるためではない。
空港バスの利用客の多くは空港から出発する時間が決まっていて遅れてほしくないと思っている。しかし、一部の乗客は料金箱の前で小銭を出すのに手間取り、遅延の原因になっている。荷物運びが料金収受までやってしまうと現金管理が手間となるので、到着前に料金を集めろとは言わない。ただし、到着前に「料金は1,030円です。お支払は現金又はICカードがご利用になれます」と言ってくれればみんなは支払いの準備をしてくれるだろう。複数の停留所を回ってくる便は遅れていることが多いので、荷物だけでなく支払いもスムーズに進むように工夫してほしい。
新浦安から羽田空港までは、カーナビで検索すれば35分程度だが、時刻表では50分に設定されている。行程のほとんどは湾岸道路。東京では国土交通省や石原元都知事が3環状建設を推進したが、その結果多くの車が湾岸道路に集中するようになった。そして、その湾岸道路は第2湾岸道路を建設する計画があったが頓挫した。首都高速片道3車線に国道片道2車線という大容量にもかかわらず渋滞してしまう。
しかし、運行を担当するリムジンバスは最新の交通情報を把握し、走行車線も含めて最適なルートを選択する。ある日の場合は湾岸道路に入って浦安、葛西の首都高入口を回避し、新木場から首都高に乗り入れ。浦安市内では信号渋滞で動かなくなるも葛西付近では高速道路よりも一般道の方が走行速度が高く、高速に乗らないのは正解である。リムジンバス社は経路選択が安定していて、渋滞していてもリムジンバスが選んだ選択であるなら現状ではこれがベストなのだろうと安心していられる。結果、45分程度でターミナルに到着。ターミナルは3つあるが、途中の停留所にも荷物取り出しの係員が待機していて、荷物取り出しによる停車時間を短くすることに貢献している。
あらかじめ標準時刻を長めに設定していることもあって、定刻前に到着。帰省ラッシュや雪の日を除けば少し余裕を見ておくだけで安心して利用できる。あとは年に数回発生する通行止めを伴うような大規模事故のリスクをどう見るかだ。

海浜幕張駅

同じ日の海浜幕張駅。新浦安から京葉線でさらに千葉方面に向かったところにある駅。幕張メッセZOZOマリンスタジアム、ディズニーリゾート利用者の宿泊客に加え、地元の住民も空港行きのバスを利用する。
北口のバスターミナルには、18mのロングバスが乗り入れる。巨大なバスが停まる停留所は大きなスペースが割かれているが、そのような路線は運行頻度が高いということもあり、多くの時間帯は人がいない。一方、それ以外の便に割り当てられているスペースは狭いし、複数の行き先を1箇所から発着させようとする。
空港バスはその典型で、長距離バスと羽田空港行き、成田空港行き、そしてイオンモール幕張新都心行きが同じ停留所から発車する。長距離バスは夜に発車するため空港行きの乗客と重なることは少ないが、午前中の羽田空港行きと成田空港行きは重なる。どこに並べばいいのかわからない。
外国人を含め、明らかに多くの客が戸惑っている。とりあえず1本できている行列の後ろに並ぶが、この停留所の荷物運びはほとんど何も言わない。人によっては自発的に説明している方もたまに見かけるが、ほとんどのバイトは乗客から聞かれたら仕方がなく答えるという感じである。この停留所で目撃した話ではないが「あー、わかりません、わかりません」と質問を受け付けない人もいる。バス会社の社員は停留所の状況を視察しないのか。
朝6時台からバス停は長蛇の列だった。本当に乗れるのか誰もが不安である。この便は予約ができないのである。まもなく来るであろう京浜急行が運行する便は千葉市内の各地を回ってくるため大きく遅れているが、定時を過ぎても何も案内がない。このバス停は電光掲示が存在するが、京成の持ち物なので他社便の遅延情報は表示しない。このとき、乗客が荷物運びに詰め寄るようなことがあっても、バス会社は運行状況を調べるための手段を提供してない。荷物運びは荷物運びの仕事しかさせないために。
京急のバス便が到着する。しかし、運転士は乗降口付近で、列の先頭付近の乗客に小声で話しかけるも、列の後ろの乗客には全く案内しない。案内はあらかじめ荷物運びが行っていると思っているからだろうか。京急では案内することが当たり前かもしれないが、海浜幕張駅にいる京成の荷物運びは何も言わないことは乗客としてそこにいないとわからないかもしれない。満席なので乗れませんと言うと騒ぎになるため、極力コミュニケーションを避けているだけの可能性もある。そして、満席になったら出発する。
席にセンサーを仕掛けておけば、空席がいくつあるかを自動で数えることは簡単だ。いくら注意を呼びかけても荷物を座席に置く者はいるが、そこまで厳密に数える必要はない。空席の数をリアルタイムで停留所に送信して電光掲示しておけばいいと思われるが、対策を取ろうとしない。結論としては

飛行機の時間が決まっているときは、こういう会社の便を選んではいけない
  • 共同運行(コードシェア)
  • 途中の停留所が多い
  • 予約ができない
  • 荷物運びがバス到着まで何もしない
  • 長い行列がすでにできている

このうち、共同運行かどうかは事前にバスの時刻表をWebで調べておくと運行会社名が書いてあったりするんでわかる。ほかの条件は初めて利用する路線でも停留所について5分でわかるので、もし危ないなと思ったらその場にいる荷物運びに質問しようとは思わず、タクシーか電車に切り替えるべきである。あなたがわからないなら、隣にいる乗客も不慣れだしわかっていない。迷っていると飛行機に乗り遅れる。
この5条件をいくつか補足しておくと、千葉方面便は明らかに増便すべきだが、この路線は4社共同運行で、会社間でダイヤ調整をしなければならないため、すぐには実現しないだろう。鉄道の相互直通運転でダイヤ調整が大変なのはわかるが、バスは電車よりは増便しやすく、臨時便、2台運行もやる気があればできるはずだが、利益の低下が心配なようだ。確かにある時間帯だけ羽田空港行きが満席だとしても、そのバスが空港に行ってしまうと帰りは空気だけ載せて戻ることになる。あと、早朝便については送りが空気輸送になってしまう。でも、乗りたいときに乗れなければ公共輸送機関として意味がない。「先着順って言ってあるのに、早めに来ないお前が悪い」と言われているような気がして、それなら使わないと言いたくなる。
途中の停留所が多いバスでもその停留所が始発の場合、乗れる可能性は高いが、ホテルなどをあれこれ回っている間に遅れが発生しがちなので、鉄道の始発駅を探してそこから座って空港に向かうほうが確実である。鉄道も事故や混雑などによる遅延のリスクがあるが、バスよりはリスクが少ないだろう。荷物が多くて乗り換えが億劫な人は、バスの移動所要時間の倍くらい余裕を見て空港に向かうことだ。空港まで40分かかるバスなら、1時間20分前の便に乗る。
こういう事態が続くと、羽田-広島便など、新幹線との競争が激しい路線では飛行機の競争力を落とすことになることに航空会社も注意したほうがよい。

羽田空港国内線ターミナル

各地から羽田空港に到着後、手荷物を受け取って到着ロビーへ。初めて来た人にとって、どこでバスの乗車券を買うのかわかりにくいだろう。羽田空港発のバスは、カウンターか自動券売機で乗車券を購入するのが一般的な流れである。座席予約も兼ねているし、飛行機はしばしば遅れることから搭乗前にバスの発車時刻を決めるのはリスクがある。そこで現地での発券が一般的だ。モノレールや京急線は便指定の必要がないから地方空港に広告看板を出してアピールしている。搭乗前にきっぷを購入することも可能だ。
それでも乗り換えの少なさや席が確保できることは魅力で、平日夜はカウンターも券売機も長蛇の列ができている。数年前には見られなかった後継であり、バス会社側は券売機の数を増やして対応しているが、カウンターの増設や、ネット購入を増やすべきと考える。
空の旅は1時間でも、着陸して地上走行10分、降機に10分、ロビーまでの長い通路を徒歩10分、10分かけて荷物を受け取り、さらに20分かけてきっぷを買うと、それだけで60分である。そこから到着ロビーを出てさらにバスを10分〜20分待たなければならない。
ロビーを出た外にある券売機を念入りに探していると、不人気の券売機が存在する。発車時刻が迫っている場合はそれが狙い目である。外の券売機は、ロビーで券を買うことを知らない人向けに荷物運びが「あそこで買ってきてください」と言うために設けられているようなもので、近くの停留所の方面行きのボタンが大きくディスプレイに表示されているが、ディスプレイの中をよく探せば他の方面行きのチケットを買うボタンがあるので問題ない。クレジットカード対応は進んでいるが、電子マネーが使えない。
空港の停留所の荷物運びはリムジンバスと京急が半分ずつの停留所を分け合って担当している。どこに並ぶかわかりにくい海浜幕張駅とは異なり、羽田空港では便ごとにどこに並ぶのか細かく指定される。そして、高頻度の停留所の場合は20分くらい前だと並ぶことさえ拒否されることがある。その場合はロビーで待機するのがおすすめである。
将来、JRの乗り入れが検討されるなど、さらなる競争激化が想定されている。バスの快適性はかなり落ちていて、他の交通機関やシェアリングエコノミーはチャンスだと思う。そのうちジャパンタクシーやウーバー専用乗り場ができて、バスなんか見向きをされずにみんなが相乗りやウーバーを使うようになる可能性もある。中国人は白タクを利用する。バス会社は現在の高稼働率にあぐらをかいていると後で足元をすくわれることになる。

成田空港国内線ターミナル

羽田が混んでいるなら、静岡や茨城、そして成田にもがんばってほしいものだ。成田の国内線の場合、

という流れになるが、第3ターミナルから高速バスに乗れるのであれば、高速バスのりばはそれほど遠くないので、

  • 降機→構内バス→ターミナル内徒歩→バス

となる。ただ成田は地理的に東京から遠いため、バス便設定上不利だ。例えば羽田到着で21時台あたりは便数も多いが、成田到着21時台になると昔はバスも電車も本数が限られていた。今は電車の終発は遅くなっているし、バスも都心行きであれば比較的充実している。
夜の成田の場合は、バスが満席という事態はないだろう。一方、電車は羽田空港駅ほど本数が多くないので、並ばないと座れない。成田の場合は電車の方に改善の余地がある。羽田空港のモノレールや、新千歳のように、混んでいてもすぐ来るからもう1本待とうという感覚にはなれない。