日本人はテロを認識していなかったのか

少し前になるが2015年8月24日のTVタックル
地下鉄サリン事件を取り上げていた。風化しつつある事件を取り上げ、信者獲得の動きを繰り返し伝えるのはいいことだと思う。ただ、阿川佐和子さんが発言中に「テロだという認識を日本はしていなかった」という字幕が出た。そんなばかなと思ってビデオを巻き戻してもう一度発言を聞いてみたら、「大量殺人事件だとは認識していたが、テロだという認識を日本はしていなかったんですってね」と言っている。誰がそう言っているのか知らないが、20年前はどう受け止めていただろうか。
わたしが覚えているのは、テレビをつけたとたん「同時多発テロ」と報じていたことだ。オウム真理教霞が関官庁街を狙って霞ヶ関駅を通る3路線の車内でサリンをまいたが、霞ヶ関駅につく前にガスが蔓延してしまい都内各駅で被害者が出てしまった。しかしそれは後になってわかったことで、事件発生直後は地下鉄を狙って複数箇所にガスがまかれたと考えるのが自然だった。
チャンネルを回しても在京局はどこも生中継をしていた。各局がテロと認定しましょうと協議をしたとは思えないので、第一報を聞いた人はテロだと思ったに違いない。そしてわたしもテロだと思っていた。テロという言葉を忘れていたわけでもないし、地下鉄サリン事件や9.11事件を契機にテロという言葉を覚えたわけでもない。
どちらかと言うと、強制捜査の様子を伝えるなどして、テロではなくてオウムの私恨なんだという意識付けが後からなされたような気がする。テロだという認識をしていなかったのではなく、その場ではテロを実感したが忘れてしまったというのが本当のところだと思う。