JR東日本、羽田アクセス線構想発表 つづき

湘南新宿ラインは大規模遅延で運休する、と書いたが、きょう2014年8月21日は恵比寿でひとりが線路内立ち入りしただけで山手線抑止、埼京線抑止、湘南新宿ライン抑止となり、直通する川越線横須賀線にも当然影響が波及した。こうなると京浜東北線も混雑の影響を受ける。
首都圏のJRを全部止めるのはとても簡単で、以前にも当ブログで書いたが、10人くらいの有志で線路内鬼ごっこを始めれば爆弾や銃弾を用いなくても大規模テロができる。まとまった資金も不要。逮捕されたくなければ線路脇に逃走車を準備し、あらかじめ鉄柵に穴を開けて逃走経路を確保する必要があるが、それでも10万円もいらない。自殺であればそれ以上の被害拡大はないので復旧計画が立てやすい。悪天候であれば乗客も回避してくれるし間引き運転もできる。一番たちが悪いのがこの線路内立ち入りである。並行路線全抑止になるし、いつまでかかるかわからない。故意なのでホームドアによる予防効果がない。
線路内立ち入りはJRの責任ではないが、問題は波及範囲である。直通運転の拡大により、たった1箇所の寸断がたちまち5路線程度に影響を与えてしまう。次に、回復能力である。きょうの恵比寿の事件では、情報筋によれば交通情報では運転再開を伝えていてもりんかい線は電車が詰まっていて、ほぼ抑止状態だったという。埼京線との直通運転を打ち切るのは簡単だが、大崎駅では新木場方面・新宿方面の両方からの電車の折り返しを行わなければならないのでたちまちターミナル能力が落ちる。前回書いたように新木場駅はもともと折り返し能力が低い。電車がつかえてなかなか動けない状態だったようだ。
このりんかい線に羽田アクセス線がつながるという。いったん誰かが線路に降りれば1時間は車内に閉じ込められるかもしれない。そんな空港アクセスならリムジンバスで首都高の渋滞に耐える方が幾分ましだ。
どうしても羽田アクセス線をやりたいなら、埼京線からの直通は羽田空港行に限定すべきだろう。新木場方面に向かう人は大崎でりんかい線に乗り換えることとする。交通障碍で埼京線との直通が打ち切られても、羽田空港からとりあえず大崎までは行ける。線路内立ち入りの場合は山手線も止まっているが、とりあえず大井町でも乗り換えられる。現在の高崎線宇都宮線川越線東海道線横須賀線りんかい線との乗り入れを維持した上で羽田アクセスともつなげたら、破滅する。羽田アクセスは、東海道線常磐線宇都宮線高崎線と直接・間接のつながりを持つとされている。東西方向の中央線・総武線各駅停車・京葉線への影響は比較的小さい*1が、南北方向系統は、羽田空港の新駅からトンネルに侵入して走っていけばほぼ全滅である。
JR東日本は直通運転を推進したがるが、交通障碍時の回復能力確保にはあまり興味がないらしい。武蔵野線直通の西船橋-南船橋間をちょこっと複々線化し、南船橋の先に留置線を作れば、京葉線が止まっても武蔵野線を維持できる。ところが土地があるのにやらない。横須賀線の品川折り返しもラッシュ時の増発には使われているが、交通障害時の折り返しには使われない。千代田線の綾瀬止まりも乗客には不評である。せめて松戸まで行けばいいのに、乗務員のやりくりが面倒だからやらない。まもなく東海道線の東京駅も折り返し能力を失う。一方、最近改善されたのは東海道線の品川くらいである。これも工事のために減線していたのが元に戻っただけである。

羽田空港発着のリムジンバスは当面安泰である。JRは敵ではない。

東京モノレールを東京駅まで延伸するという。空港輸送の定時性確保にはこれが一番だ。

*1:高尾発着の成田エクスプレスや、横須賀線総武線快速経由で若干の影響はある