車内LEDにみる自社中心主義

東京の地下鉄で最も早く車内液晶ディスプレイが導入されたのは東武直通車輌であったと記憶している。LEDが全盛の中で、カラーモニターがドア上に設置されたのは斬新であった。東武はそこに制服を着た職員のイラストを表示させたが、地下鉄線内ではわざわざ営団の黄緑色に変更していた。
一方、東京メトロ車輌は当初他社線内走行中も画面の隅に社章のハートMを背景に出していた。
最近はハートMをやめて無地になったが、まだ名残は残る。最近駅ナンバーがJR線についても表示されるようになったのに合わせてJR総武線走行中の津田沼行き東西線車輌では、西船橋駅はJB-30と表示するようになった。西船橋東西線のT-23ではなく、総武線扱いということなのかもしれない。ところが乗り換え表示に注目すると「JR線」となっている。
東西線に乗っていた客にとっては西船橋ではJR線乗り換えなのだが、実は反対方面でも同じである。津田沼発の場合、船橋駅を出るとJRのアナウンスが流れるものの、乗り換えはJR線。船橋までの客は全員総武線の客なのだから、武蔵野線京葉線総武線秋葉原・新宿方面に乗り換えとする方がいいと思うが、東京メトロの考えは西船橋駅到着前に境界があるから、西船橋ではJRに乗り換えなのである。ちなみに西船橋の構内放送では津田沼行のことを「総武線直通」と言う。
ただ、JR直通車輌についても車外側面の行き先表示では東西線内走行中でも「地下鉄東西線直通」と表示させているのでお互い様かもしれない。常磐線各駅停車では東京メトロの駅ナンバーを表示させながらも北千住まで常磐線扱いだから、将来中央・総武線東西線直通車輌が液晶化されたときは中野と西船橋はJR扱いかもしれない。
東京メトロでは営団時代の「国鉄線」表示を引き継ぎ、JRの乗換駅では原則「JR線」の表記を続けている。昭和20年代丸ノ内線が東京に到達した時点で、山手線、京浜東北線、中央線、東海道線横須賀線高崎線常磐線と書くのが大変だったからかもしれないが、1、2路線なら路線名で書いてくれた方が乗客にはわかりやすいと思う。ただ、三越前における総武快速線、市ヶ谷における中央線など、一部例外はある。