房総へ特急を

2022年6月23日乗りものニュース
「西武新宿線から房総へ特急」提案 メトロ東西線乗り入れ“まず費用感を” 株主の声 | 乗りものニュース
西武鉄道株主総会では例年、鉄道事業に対する独創的な質問が寄せられる。
西武新宿線の活性化は沿線住民にとっても株主にとっても関心の的であり、2022年は地下鉄東西線への直通を実現して房総へ特急を走らせてほしいという。
横浜方面へのFライナーが空気輸送状態で大きくこけているのに、また特急かね、と現場は思っているかもしれない(憶測)。
また、東西線に直通すれば千葉県には入れるけれど、房総方面に線路がつながっていない。
東西線の下り線から総武緩行線の下り線へは、平面交差なしに転線できるようになっている。ラッシュ時にしか使わない短絡線が立体で設置されている。
総武緩行線から総武快速線に転線させるため、それと同じようなものを新たに設ける必要がある。
総武線快速線と総武線緩行線との転線は両国付近でもできるようになっているが、平面交差なのでダイヤの乱れに弱く、JRは積極的に活用していない。
千葉県の国会議員を始めとする政治家が、新宿発のホームライナーを充実するように陳情した*1ところ、JRは充実どころか総武線系統のホームライナーを全廃してしまった。他のホームライナーも全廃して特急に格上げしたかったというのがJR東日本の本音のようだが、東海道線系統を除くと中央線系統も含めて乗車率は今ひとつのようである。
成田エクスプレスもコロナ禍以来、空気輸送が続いていて、コロナ禍ではとうとう車輌を両国駅に停泊させてオフィスへの転用まで試みるに至った。千葉駅停車を増やしたが、こうなると京成スカイライナーと速達競争はあきらめるしかない。成田エクスプレスこそ両国で転線して中央線に向かったほうが新宿から乗る利用者へのアピールになると思うのだが、現状は東京で運転停車して南に向かい、渋谷を遠回りして新宿に向かっている。こんなの誰も利用しない。
週末の房総方面は、高速道路の渋滞が厳しくなる一方である。特に夕方の帰りの混雑がひどい。渋滞なく帰れればすばらしいとは思うのだが、特急があっても誰も乗らない。観光客からは鉄道が支持されていないのである。この大渋滞の中を首都圏各地向けに空港高速バスが走っているのだ。高速を降りてしまい一般道をノロノロ走っているのだが、あの渋滞に耐えるくらいなら電車で帰ったほうがいいんじゃないのかと思うのだが、それでもバスに乗りたい人がたくさんいるのである。鉄道はどうしちゃったのだろうか。
西武新宿線から、各駅停車の後ろをノロノロ走る特急で千葉県に入って、多額の投資が必要な転線設備を経て千葉方面に行ったとしても、乗ってくれる人はいるのだろうか。
東京メトロ西武池袋線西武有楽町線との直通のために小竹向原付近の地下に立体交差トンネルを構築したが、そこまでやっても元町・中華街発の西武秩父行きは空気輸送。西武から新たなおねだりがあっても、東京メトロやJRはつき合うだろうか。小竹向原付近はラッシュ時の遅延防止には大きく貢献しているので、これ自体は問題ないが、観光特急だけのために転線設備を設けることはないだろう。
本来、房総への送客は千葉県が考えなければならないことなのだが、千葉の政治や行政は千葉県民の利便のことばかり考える傾向にある。おらの村から東京へではなく、首都圏全体から快適に千葉県に来てもらうことを考えないと千葉県の観光は地盤沈下してしまう。

*1:埼京線りんかい線を経由して京葉線系統でもホームライナーを必要と要望したもの