ハブ空港とアジア共同体構想

日本航空の株価がとうとう100円を割った。アメリカの航空会社が提携を狙おうとしている。帳外債務も多いと聞くが、欠損を補うのは日本の資金がいいのだろうか。外資がいいのだろうか。
主要産業でありながら外資を注入した例としては日産自動車マツダがあるし、ソフトバンクモバイルもかつてはVodafoneだった。製造業や通信業と同じように考えてよいものか。ハブ空港の地位をインチョン空港から奪回しようと前原国土交通大臣が奮闘しているのも、日本が投資すべきか外国に任せていいかの議論のひとつであり、むしろこのことと合わせて考えた方がいいようだ。
鳩山政権にはアジア共同体構想がある。わたしは積極的に賛成できないが、日本単独で生き残りましょうというのは限界があり、連携先が中国や韓国かどうかは別として、どこかの国と協力していかなくてはならないと思う。共同体を作る意義は、単に仲良くなることや、地域の主導権を握ることではない。文化交流でもない。他の地域と対抗していくために地域内の資源配分を効率化していきましょうということだ。その中には投資の集中も含まれる。それであれば、共同体の中で下手に争ってはいけないのである。もちろん独占の弊害をなくすために域内で競わせましょうということでもいいが、域内に1つか2つで充分ということであれば後発が無理して一番を目指す必要はない。
空港も航空会社も、アジアに3つくらいあるのだから、日本が一番になる必要はないという判断をしてもいい。そのかわり自動車、鉄道、航空機の製造技術は日本が握るとか、造船はどうするとか、メリハリをつけて決めればよい。
アジア共同体構想に勝算があるかどうかは慎重に判断しなければならないが、忘れてはならないのは財政難である。全部がんばるなんてできない。
羽田・成田連合で逆転勝利する秘策はあるのか。大深度リニアや発着枠の話しか聞こえてこないが、アメリカからアジアへの乗り換えを便利にする通路を作るとか、単なる免税店の発想を超えた空港内集客施設を入国手続きなしに利用できるようにするとか、日本の空港の魅力を高める準備は進んでいるのか。
航空需要が伸び続けるというのは本当だろうか。ICT技術の進展、人口減少、可処分所得の低下。減る要素はいくらでも思い付くが、それを帳消しにする増加要因は何か。観光立国として成功するのだろうか。

どこかに大きな嘘がないだろうか。

一方、建設技術が進めば、数十年後には台湾まで安くトンネルが掘れるようになるかもしれない。リニアモーターカーの技術はそのとき最先端であってほしい。新幹線は中国がコピーするだろうから。。。
共同体構想を掲げるなら、投資の取捨選択もテーマとして取り上げるべきだ。アジアの首脳とは歴史認識や教科書よりも共同投資をまじめに議論すべきだ。ガス田の取り合いだけなのか。

事業仕分け

投資の取捨選択といっても、民主党事業仕分けがやっているのはちょっと違う。スーパーコンピューターの事業について蓮舫議員が「2位では何でだめなんですか」と担当者に質問していた。すでにいろいろな論評がされているが、ハブ空港を取られても航空需要はなくならない。しかし世界2位のスーパーコンピューターなんて誰も買わない。商品になったときには開発当初よりさらに時間が経ち、性能面の優位性はない。そんなものには需要がないのである。担当者が投資意義を答えられない時点で、今の役所、今の企業に投資を続けるべきではないということはわかっただけでも事業仕分けを実施する意義はあると思うが、2位ではだめかと担当者に聞いてしまう仕分け人はだめだ。
2009年11月9日のフジテレビとくだね!に出演した蓮舫議員は「私も1位がいいと思うが、納得する理由を説明してほしかった」と言い訳していた。本当にわかっているどうかはコメントだけでは判断できない。日本が組む相手は誰か、ライバルは誰か。それを理解して戦うべきかいなかを判断してほしい。この分野において日本は組める相手がいない。勝てる体制を組んでアメリカと戦うべきではないか。政治家は、この分野で戦えと国民を導いてほしい。

独占禁止法

大前研一氏は日本航空を潰せと言っているが全日本空輸1社体制になってしまう。しかし日本の枠の中だけで独占に何の意味があろうか。
りそなのようにひっそりと生き残れればよい。