怖いタクシー

 タクシーに乗ったら、運転手がおじいさんだった。個人タクシーの年配の方ならベテランという感じを受けるが、法人タクシーだったので、まず「怪しい」と思った。
 乗ったのは、深夜の駅前である。駅前広場とはいえ、そこはあまり人が通らないところ。こんなところで客を待つ運転手のセンスがいいはずはない。だから仕方がないと自分に言い聞かせた。つまり、あきらめて乗ることにしたのだ。
 行き先を告げたら、それはどこですか、と言われた。ああ、やっぱり。でも、2,000円もかからないところなのにどうして知らないのか。あなた、わたしが車に近づいてもなかなか気づかなかったでしょ。客待ちの間、ぼーっとしている暇があるなら

地図でも読んで勉強しろよ。

 席の後ろから怪しい風が吹いてくるし(しかも、臭い)、フロントガラスは汚い*1し、怪談話に出てくるような雰囲気。おじいさん、本当に生きていますか?
 しかし、そんなところで怖がっている余裕はない。停止線ではちゃんと止まれないし、車線に沿って走れないし、変なところでウィンカーは出すしで、対向車線の車からヘッドライトでパッシングされている。おおおおおおおおおおお、ちゃんと目的地まで行かれるかなあ。
 こういうタクシーは1秒でも早く降りたいのだが、おつりを出すのもすごく遅い。運転席の周りには小銭のポケットがなぜか3つも付いていたが、硬貨の種類ごとに分けているわけでもないらしく、あちこちまさぐっていた。いらいらいらいらいらいらいらいらいらいら・・・
 タクシーは規制緩和しすぎです。自由競争がいい業界はたくさんあると思いますが、少なくてもわたしにはタクシー乗り場でよい運転手さんを見分けることができませんし、だめな運転手さんを見つけたとしても逆乗車拒否をすることができません。競争が成り立たない業界に自由参入を認めるというのは本当にいいことなのですか。ここで言う競争というのは、認可制になっている運賃のことではありません。消費者が供給者を選ぶ権利があるかどうかということです。

*1:その日は1日中晴れていたのに