事故情報は速報が大事

 いくつかの鉄道会社で、LED表示器が改札外に設置されるようになった*1。事故が起こったときに切符を改札に通す前の乗客にダイヤが乱れていることを知らせるためだ。耳に障害がある人には放送による情報提供の替わりになり、ありがたい設備になるかもしれない。ただし情報の鮮度に問題がある。
 ある日、電車に乗ろうとしたら「遅れが出ています」と表示されていたが、駅に入る前に、動いている電車を外から見かけたので、大丈夫だろうと思ってとりあえずホームまで行ってみた。
 何もアナウンスがないまま数分経って電車が来た。電車が動き出したら「この電車は15分遅れています。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」と何回か車掌からアナウンスがあった。
 終点に着く間際、「本日は大変ご迷惑をおかけしました。この電車は10分遅れで、まもなく終点XXに到着します。」と再びアナウンスがあった。ここで考えたが、すぐ電車は来たし、

所要時間は5分縮まっている*2し、

わたし個人にとっては全く迷惑がかかっていない。
 数時間から数日にわたって運行が止まる大規模運行障害はそれほど頻繁ではない。運休を伴うようなダイヤの乱れであっても、たいていは数分から数十分程度の運転中止で済むし、運転再開直後はダイヤが乱れこそしばらく続くがそれでもコンピューターで運転調整が行われるから運転間隔がひどくゆがんでいる時間は限られている*3。例えば、30分遅れのままなかなか回復しなかったとしても、現在時刻から5分前発の電車も5分後発の電車も両方30分遅れているなら、10分間隔の運転を保てていることになる。
 問題は運転再開前の情報提供が足りないことだ。事故などが起こった直後、運行が止まっていて最も利用者に迷惑がかかっているときのことである。ホームの行先表示器は正常運転していたときの状態のままか表示が消されたまま。駅員や車掌からの説明もあまりない。
 そして何より改札にある表示器が無意味である。電車が来ないときには何も情報提供してくれないのに、電車が動き出してから「ダイヤが遅れています」「振替輸送を実施しています」と告げられても、あまりうれしくない。
 地震津波はテレビですぐに速報してくれるが、鉄道やバスにはどうして事故速報がないのだろうか。

  • ○○線でダイヤの乱れが発生した模様です。また何かわかりましたらお知らせしますので今後の情報にご注意ください。
  • ☆☆線で、緊急停止信号が出されました。原因を調べていますが、この後、電車の運行に影響が遅れが出る可能性があります。
  • 現在、信号が赤になっていますので発車を見合わせております。しばらくお待ちください。

という情報をどうしてすぐに出してくれないのだろうか。後続便に影響がなく遅れが解消する可能性も否定できないから、紛らわしい情報提供はやめようということなのだろうか。それともダイヤ遅れの兆候は震度0〜1の地震のようなもので、数が多すぎてきりがないのだろうか。
 速報が無理であれば、

  • 事故を認識した時刻
  • 運転を再開した時刻

を常に告知しつづけるのがよい。

気持ちのこもっていない「ご迷惑をおかけしています」よりかは

断然有益な情報になろう。

*1:http://www.jreast.co.jp/investor/report/2005/pdf/03.pdf 6ページ左下参照。なお、本日のブログに書かれた筆者の体験とJR東日本は全く関係ありません

*2:運転停車時間を短縮するなどしたのであろう

*3:都会の路線を想定