人災

昨日に続けての投稿となる。

2019年9月9日、台風が去ったあとのJR。

倒木や停電で、計画を上回るダイヤ乱れが発生した。それは仕方がない。

しかし、JR東日本のミスを犯した。

台風の影響はあるが、安全確認をすれば8時か9時に再開しますと周知した。これで通常のホワイトカラーは出勤を見合わせてくれると思ったのではないか。

しかし倒木や停電がなかった区間で駅に乗客が殺到し、ホームや構内は人であふれた。

そのとき、JRはアプリで、入場規制を行っている駅だけ公表した。しかし実際はダイヤの乱れたほとんどの駅で大混乱だったのである。ところが急ぎの出勤を控えるような要請はなく、運転再開してます、もうすぐ動きますというアナウンスを続けた。

企業勤めの人は、半休というのが勤怠を考えるひとつの目安だから、「再開しても13時頃までは普通にご利用いただける状態には戻りません、ダイヤの正常化は終日見込めません」と日曜の段階で発表すべきだった。

13時に乗れて14時に会社に着いても出勤扱いにはならない、という風にあきらめさせなければ、みんなはがんばって会社に向かってしまう。

よって日曜の18時頃に「翌朝8時頃まで見合わせ」と発表したのは人災である。災害は台風上陸前に起こっていた。

間引きしすぎ

「そんなことは台風が来た後だから言えることで、事前に予測するのは不可能」

という反論を受けそうだが、今回の人災の原因は台風ではない。

8時から運転再開するという計画を決めたのなら、本来なら8時から全力で本来の輸送力に戻す努力をしなければいけない。しかし今は人員に余裕がなく、再開後も間引き運転をしている。

間引きはダイヤを正常化させるために、ダイヤを守れそうもない電車をいなかったことにしてしまうことだ。

しかし、ただでさえダイヤががちゃぐちゃなのになぜ運転再開からダイヤ回復を最優先しなければならないのか。各駅で乗り切れない人がホームや改札外にあふれている状況でなぜ運転をとりやめるのか。

それは人ぐりがつかないからである。

10時になっても12時になっても、通常の日中の運転本数に満たない本数でやりくりしようとした。駅員や車掌は台風の影響でと主張し続けたが、人ぐりのためというのが正確なところである。

前の日から間引きを始めているのに、なぜ車庫で乗員を待機させられないのか。朝運休した便の乗務はなくなっているのに、なぜ再開後にすぐ乗務できる体制を作れないのか。臨時便を出せと言っているのではない。せめてダイヤの本数並みに車庫から電車を出してくれと言っているだけだ。

保線の人は徹夜で線路の復旧にあたってくれているはずだが、その後の対応がよくない。

先の京急の踏切事故ではわずか2日で復旧したと大喝采だったが、今回のJRの混乱は業務継続計画を見直すきっきけとなるだろうか。それとも合理化優先でますます不便になっていくのか。まるで労働組合の主張のようになってしまった。

アナウンス計画が迷走気味

昨日の書き込みと共通するところではあるが、アナウンスがうまくできていない。

東日本大震災のとき、首都圏のJRは混乱を恐れていち早く早期復旧を断念して乗客を改札外に追い出した上でシャッターまでしめてしまった。このとき非人道的だとして批判を浴びて「もう少しがんばってみようか」という雰囲気になっていた。

今回は「8時くらいから再開しますが、日中に正常化することを目的としていて、9時始業の方はあきらめてください」というメッセージが伝わらなかった。遅刻にはなるが昼前には着くと勘違いさせてしまった。

次は正しくアナウンスできるか。

ITも微妙

アナウンスはマイクとスピーカーに頼る時代ではない。実は、東日本大震災の頃よりスマホが普及し、運行情報を個人に伝えるインフラが整っている。

しかし、一番正確な列車走行位置情報のサービスはアクセス過多で接続できない状況が続いていた。キャパシティの増強が緊急課題だ。

他のアプリは大嘘つき。10時になっても12時になっても電車に乗れないのに8時から再開といい続けた。

LINEも使えるようにした。botを使えばリアルなデータを伝えられるはずなのに、運輸指令が持っている最新情報は得られない。いつまでも8時に再開、8時に再開とやり続けた。

JR東日本のITについて、乗車券販売サイトである、えきねっとがしばしば批判される。しかし、えきねっとは慣れれば使えなくもない。列車運行情報提供のほうがひどいと思っていたところだ。

情報を隠しているようにも見えてしまう。会社を休めないようなバカはおとなしく駅で並べ、と言いたげである。