裁判員制度

 なにかと騒がれているNHKだが、2005年2月12日・13日放映の「司法大改革・あなたは人を裁けますか」はなかなかよかったと思う。
 市民側の意見として、他人の人生に影響を与えるのが怖いという声が少なくなかったが、被告になっているのは理由はともあれすでに別の人の人生に影響を与えてしまっているからだし*1、裁判でなくても人生に影響を与える場面というのはあると思う。素直に「国民の一員として裁判制度を維持する責任がある」「人を裁くのではなく罪を裁くのである」ということを自分に言い聞かせればできない仕事ではない。
 ただし、不安はある。放映の中で問題にされなかった問題として、

  • 合議の中で少数意見になってしまった場合、裁判員は冷静に議論を進めることができるだろうか
  • その場で合理的な説明ができる者の意見や多数の意見が正しい意見ということにならないだろうか
  • 合議内容の賛否表明を保留したり棄権したりすることはできるのか *2
  • 判決が自分の意見に合わない場合、判決結果に裁判員として責任を追わなければならないのだろうか

合議制を取る以上、討論能力が問われるのである。自分の意見が最善と思えば、後に悔いを残さないためには他の裁判員を説得し、あるいは他の裁判員の意見に納得する必要があるが、議論に参加する双方に討論能力がなければ難しいことがあるかもしれない。しかも、法曹界の専門家ではないから、裁判実務に携わる経験や、法律の専門知識を助けとすることができない。日本人の性格を考えると、その場の雰囲気に惑わされない意思決定が可能かどうかが気になる。

*1:人に迷惑をかけていない人の人生を変えてしまうことにはさすがに抵抗がある

*2:制度上のことではなく、その場の雰囲気はどうなのだろう。匿名投票できることが望ましい