花火を撮る

 近所の花火大会に行きました。単に見るだけでは芸がないので、写真に納めてみようと思いました。
 現地に着いてデジタルカメラの電源を入れましたが、電池が切れていました。でも、こういうことがあろうかと、予備の電池を買ってありましたので難を乗り切ることができました。
 撮り始めてみると、意外と難しいことがわかりました。花火は暗い中でいきなり明るい光を放ちます。光の調整が難しい上、静物を撮るように時間をかけてゆっくり構えることもできません。オートフォーカスレンズなどの挙動を見ていて、判断に困っている様子が見て取れます。マニュアル操作も試みましたが、レジャー用のカメラでは難しかったです。暗くてボタン操作もうまくできません。
 ただ、慣れてくれると、こつがわかってきました。下にまとめておきます。
 花火が上がると同時に、フラッシュをたいている人がいます。なんで記念撮影しているのかなと思っていたら、人ではなく、花火を写そうとしていたようでした。「夜=フラッシュ必要」と勘違いしているか、自動発光機能を無効にできないだけのようでした。フラッシュの光で撮影対象が明るくなる場合以外は、単なる電池の無駄遣いです。使い捨てカメラならともかく、オートフォーカスカメラはフラッシュをつけると、フラッシュの明るさを基準に露光を決めますから、たぶん失敗しているはずです。主役の花火に負けじと光を出している人は、どうやら一人だけではないみたいです。あらあら、フラッシュの色が一般のカメラと微妙に違うのは携帯電話のカメラでしょうか*1。花火の場合は、他の見物人に邪魔です。フラッシュの意味や操作方法さえ勉強しない人がカメラなんて買わないでください。猫に小判です。

以下は、撮影のこつです。

  • カメラを買うときは、起動が速い機種を選びましょう。デジタルカメラの場合は、それに加えて撮影後の画像保存時間の短さも考慮に入れましょう。
  • 連写モードがあるカメラの場合は連写モードにしましょう。ただ、デジタルカメラで、連写した写真を全部保存していくと記憶容量を食いますし、保存時間が長いために、次にいい花火が上がったときにシャッター・チャンスを逃すことにもなりかねません。その場で必要な画像だけ選んで登録する方法を練習してから本番に臨みましょう。連写ができない場合、撮影のタイミングを文字で表現するのは難しいです。慣れるしかありませんと述べておきます。
  • 余裕があれば、家で花火を撮って予行練習しましょう。離れたところから線香花火をズームで撮ります。細かいちりちり火花までぶれずに撮れたら合格です。
  • 撮影場所は、打ち上げ場所からの近さよりも、前に障害物がないかどうかで決めます。今回のわたしはいい場所を見つけることができましたが、後から来た人に邪魔されない位置を探します。早めに行って場所取りしても安心はできません。ちょっとした高台に来ても、子供を肩車した人が来るかもしれません。
  • 周りの人を撮らないようにするには、ズーム撮影をすることになりますが、遠くを撮すと手ぶれがおこりがちです。花火にひげ*2が生えたように写ってしまいます。三脚でなくてもいいのでカメラを固定するか、カメラを持つ腕を固定するようにしたいです。あるいは、デジタルカメラの場合は、あとでいらない端をPCで切ればいいのですから、望遠はやめるという選択肢もあります。(ただし、建物や街灯などの明かりが入るまで引くのはやめた方がいいです。)
  • まずは単独であがる花火で肩慣らしをします。三脚の場合はまだ固定しません。大会が始まると、地平線の方から光のすじがあがりますのでファインダーで確認しながらそれを追います。そして、花が咲いたときに、花火を枠の真ん中に持ってこられる位置を理解しましょう。三脚等があれば、その位置でカメラを固定します。はじめの10分くらいは捨てるつもりでたくさん撮って練習します。デジタルカメラならばフィルムの無駄はありません。
  • 打ち上げ場所の真下ならともかく、離れたところにいる場合は、だいたいその位置にあがります。あまりあちこち目標を変えるのではなく、手ぶれしないことに神経を集中します。
  • 慣れない場合は、デジタルカメラの液晶ディスプレーではなく、ファインダーで撮しましょう。近くに見物人がいる場合も、液晶ディスプレーの光は迷惑ですから消しましょう*3。花火は暗闇を照らすからいいのです。
  • 撮す位置がわかったら、シャッター・ボタンを半押しにして花が咲くのを待ちます。花が咲く前にピント合わせが終わらなければ、確実に花がぼやけます。
  • 大規模な花火は、プロを目指すのでないなら避けた方がいいです。そして、カメラはいったん忘れて、本物の花火を自分の目に焼き付けて楽しんだ方がよいです。理由は、大きな花火は煙も多く出るので、煙によって花火が欠けてしまうことが多いです。そして、連発花火は昼間のように明るくなるので、過激派か空爆によって街が明るく染まっている海外ニュース写真のようにしかなりません。それでも大規模な花火の感動を残したい場合は、撮影場所は風上に限ります*4。そして、露光をマニュアルで調整できるカメラを、単独花火用とは別に用意しあらかじめ設定しておきます。タイミングとしては、しばらく打ち上げの間隔が開いた場合は、花火職人が前に打ち上げた花火の煙が消えるのを待っているわけで、その後に大型が来ることを覚えておきましょう。
  • ビデオはやめた方がいいです。まず、素人が撮った映像がおもしろいはずがないです。テレビで見たいならば、テレビ東京の中継を録画しましょう*5。それに、周囲の明かりや、移動する人、夜に外出できて大はしゃぎの子供の声*6が入ってきてたぶん台無しです。

*1:携帯の場合は必ず撮影後にプレビューになるので、2、3回やって「うまく撮れない」と悟ってあきらめてくれるのでいいのですが、デジタルカメラの人はプレビューを見ない人もいるようですね

*2:花の粒が「*」にならなければならないのに「,」になったり、「へ」になったりする

*3:同様にたばこの火も邪魔です

*4:風上がいいのはカメラに限りませんが

*5:http://www.tv-tokyo.co.jp/hanabi2004/ ただ、スポーツ中継と同様、コメントが余計なのが気に障りますが

*6:花火に飽きて鬼ごっこを始めるのですよね