Google Pixel Fold (2023年モデル) リアルレビュー

Google初の折り畳み(fold)型スマートフォンとなったGoogle Pixel Fold。日本ではau*1の2023年7月27日発売がGoogle直販よりも先行した。
発売1か月前からインフルエンサーの方々がYouTubeを使って試用した感想を流し始めた。
Googleさんのオフィスに特別に呼ばれ、Googleさんから特別に実機を先行入手したという。
特別な方々の多さにGoogleさんの気合は感じる一方、配りすぎで特別「感」は薄れてきた。
しまいにはアメリカから直輸入した自分こそが初自腹だと差別化を試みる動画もあった。
特別な方々は一様に新機種をほめるばかりで、まあ、20数万円のものをただで使わせてもらうならば、意識しなくてもそうなるだろうなという内容であった。

普通に分割払いで入手してみたので、Googleに心から忖度してない感想をいくつか述べたいと思う。

これまでのわたしは、こんな感じ。

  • スマートフォンは、かつてPixelも使っていたが、最近は中華ミドルレンジを使用
  • タブレットは、小型Androidでよさげな1台が見つからず、最近はiPad
  • 時期によって異なるが、携帯業界外の優待を使って、SIMフリー端末を一括購入
  • SIMはサブブランド、MVNOを数枚使いまわし

きっかけ

昨今の中華系は、価格性能比はとても高い。
このまま数年使い続けることもできたが、なんとなく挙動がもっさりしてきた。
アプリを詰め込みすぎなのだろうが、リセットのタイミングである。
ただし、わたしはおサイフケータイを運用中なので、気軽に工場出荷時に戻すことはできない。すると別の端末が必要となる*2

それだけなら出費を決断するには至らなかったが、ランチャーが時々勝手に切り替わる謎の現象が頻発するようになってきた。
油断していると勝手に画面が中国語になってしまう。
端末を再起動すると何事もなかったように日本語の画面に戻るのだが、何が起こっているのだろうか。切り替わる瞬間を見たことがないから対策を打ちようがない。
何か隣国から操作されていたら怖いなあと思い、機種交換を決断。
そのタイミングで、前述の特別な人たちのアピールが始まったので折り畳み式に挑戦してみたくなったというわけである。

購入方針

他国で発売が開始された後、壊れやすいという情報が駆け巡った。
特殊な構造なので、修理代を払うことがあったら、それだけで精神的なショックが大きい。それが大きな後悔につながることを恐れた。
保険を払って安心も得ておくべきかと思い、キャリアから購入することにした。
前回中華系の数万円から20数万円は格差が大きすぎるので、返却オプションつき割賦*3にした。

発売当初の在庫

3大キャリアも直販も豊富だったのでは。値段が高すぎるのでインフルエンサーががんばっても売り切れになるような商品ではない。

ちょっと気を遣う

初日はベットの上であれこれ触っているうちに寝てしまった。
起きたら体のそばにめいっぱい開いたPixel Foldが。
あやうく、初日に体重で画面を壊すところだったと肝を冷やした。
ハードカバーで守ったスマートフォンだったら落としても平気という感覚なのだが、高価なだけではなく壊れやすそうなので少し扱いに気を遣う。
こういう話はインフルエンサーからは出てこない。生の話をこの後もつづっていきたい。

いいところ

これはたくさんある。

1 折りたためば小さい

情報を一度にたくさん見られるので比較的大きな画面の端末を選ぶ傾向にあり、最終的にはiPadにまで行きついていた。
ただ、大きい画面の端末は、小さくはならないのが普通だった。
折り畳み端末は、折りたためば小さくなる。これが意外と心地よい。
目線の移動が小さい。
普段、ずっとiPhone SEレベルの小型機だけ使うのはつらいが、この大きさがよいことがある。

男性だと服のポケットに入れて持ち運ぶことも多いだろうが、大型画面のスマートフォンを設計すると、持ちやすさを考慮して縦長になる傾向があったので、縦の寸法が短くなったのが今のところいい感じである。
昨日までと違うから新鮮なだけかもしれないが。

2 大画面も使いやすい

中央にゆがみができてしまうのは有名だが、わたしもインフルエンサーの人たちの感想と同じように「わたしは気にならない」と申し上げておく。
撮った写真のチェックをするときは気になるかもしれないが、漫画や電子書籍を読むときにはゆがみを気にしない。
もっとも、紙の本だって見開きにしたら中央付近は少し曲がるものである。
そういうのを気にする人は店頭で実機を確認すればよいが、ゆがみよりは見開き大画面の方が価値である。

3 大きい割には軽い

これはiPadとの比較である。iPadは長い間持っていると少し手と腕が疲れる。
わたしの場合、iPad本体にキーボードに接続できるハードカバーを装着しているので、なおさら重たくなっている。
ずっと持って見たり読んだりする分にはiPadよりもよい。
iPad、いらないかもしれない。

4 指紋認証の感度がよい

画面上の認証や、背面に指紋リーダーを搭載した機種なども使ってきたが、側面の指紋リーダーが一番感度がよく、失敗が少ない。
顔認証は暗いところで使えないので、わたしは側面の指紋リーダーが最高だと思う。

5 カメラも悪くない

カメラのレビューは、インフルエンサーさんたちが詳しく実験しているのでそれを見てほしい。
中華系を数社試してみたが、名刺を撮影するなどの接写がうまくいかなかったが、個人的にはPixelのカメラは使いやすい。

6 弱い非接触充電

わたしが非接触充電に求めているのは次の3つだ

  • 机の上で、充電しながら立てかけることができる
  • 使いながら、電池が減らない
  • そのまま放置したら、一晩でフル充電できる

急速に回復したいときは有線でいい。ただ、メイン画面を自分に見ている状態において底辺部分にUSB-Cの口がついている機種がほとんである。
立てかけながら充電するには、クリップではさむか、L型の充電ケーブルを使うことになる。どちらも不安定である。
充電台の上に置くだけで勝手に充電が始まる仕組みの方がありがたい。

このとき、電池が減らなければいいので、ワイヤレス充電を高速化してもらう必要はない。
充電端子とは接触していなくても充電台とは接触しているので、熱をもってバッテリーの劣化を早める方が困る。

7 NFCが安定

これは中華系各機種との比較だが、例えばマイナンバーカードを当てたらちゃんと読み取る。
中華系は、当ててもうまく反応しないことがあるが、ICカードチップリーダーとしての機能は安定している。

8 タブブラウザ

見開き画面のGoogle Chromeタブレット仕様になるので、タブブラウザになる。
画面を切り替えやすいのはありがたい。

気になるところ

あえて挙げているので、すべて読むと不満だらけのように読めるかもしれないが、どれも致命的な話ではない。

1 やや温かい

充電しながら使うと本体が温かい。
アプリの稼働状況にもよるので端末の設計が悪いとまでは断言でいないが、普段使いでも温かい。
これで長時間バッテリーが持つのだろうか。
熱によるバッテリーの劣化gが気になる。

2 画面を開いた状態でワイヤレス充電できる充電台がほしい

そんなニッチな商品は出てこないだろうか。

3 見開きにおいては一部のアプリの挙動が怪しい

アプリで利用者認証のときに、電話やワンタイムパスワードアプリを使ってPINを入手したあとに元のアプリに戻ると認証処理開始前に戻っていたことがいくつかのアプリで見られた。
見開き画面に2つのアプリを並べてやるとうまくいったりもしたが、画面の解像度が変動することについていけないアプリが存在するようである。
あるいは、見開きでの利用を断念しなければならないものも出てくるだろう*4
折り畳み型は史上初ということではなく、Galaxyにはあるので、同じ感想を持つ利用者はいるだろうが、アプリの挙動の話なので端末のレビューでは紹介されにくい。
ただ、利用者はアプリも含めて端末を使うので、アプリの使用感も評価を積み上げていかなければ改善されない。

4 タブレットと誤解される

ソフトバンク、ヤフーさんは、PCやタブレットではなくてスマートフォンからアクセスすることを求めるアプリをいくつかお持ちであるが、Pixel Foldもタブレットだとして拒絶する。
自社でもPixel Foldを発売しているのに、変えるつもりがないのかが気になる。
スマートフォンとして使っているので、排除しないでほしい。

5 ランチャーが純正

普段の待ち受け画面を制御するランチャーは、ふたを開けることで単画面と見開き2画面を切り替えられる仕様にしなければならない。
好きなランチャーを持ってきて着せ替えることが自由にできない。
Google純正のランチャーは、日本語を表示するとちょっと表現力が乏しい。
上部に並ぶアイコンや時刻の表示が細かすぎる。大きくすると、アイコンの文字も大きくなってしまう。システムフォントのサイズを調整するアプリを使って調整した。
アプリ一覧をフォルダにまとめて管理できない。
ゴシック体のフォントもあまり好みではないが、Google Pixelシリーズでは他のフォントに置き換えることはできない。
ここは、単なる好みの問題であって機能上の問題ではない。

6 カバーがまだ見つけられていない

保険に入ったので、落下破損しても1回数千円を行使すればいいか、という気分になっていて、こてこてカバーを付けるのはやめようかなと思っている。
ただでさえスマートフォンとしては重量級なので、さらにガラスなどで覆うと300g超えが見えてくる。
ハード系のものをよく見かけるけれど、欲しくはならない
ただ、これはまだ見つけられていないだけであって、欠点ではない

7 操作に慣れない

自分に頑張れと言いたい。そのうち慣れる。
起動中のアプリを切り替えるのが特にうまくいかない。

今後の機能改善に期待

使い始めてからも何回かシステムアップデートがあったようだ。今後も機能改善、修正に期待したい。

*1:ドコモとソフトバンクが前倒しして追随

*2:今さら、引き出しの奥に眠っている1つ前の機種に戻すのもなんなので、新しい機種が必要となる

*3:なんちゃらサポートとか、かわいい名前にしているけれど、要はローンである

*4:推測。短時間では調べきれない