相鉄・東急新横浜線

 東急東横線相鉄線を新横浜経由で連絡する新線の建設が進んでいる。

横浜が遠くなる

 相鉄線にとって新横浜へ乗換なしで行かれるのは大きな価値向上につながるし、東急東横線沿線の人にとっても菊名からJR横浜線を1駅乗る手間がなくなるので便利になることは間違いない。
 ただし、東横線は東京と横浜を結ぶ路線として、渋谷-横浜でJR湘南新宿ラインと競争している。東横の横は新横浜の横でもあり、渋谷から新横浜に結ぶことも大きな使命と考えることもできるが、線路容量が限られているのに新横浜に便利なダイヤにするのは難しいという意見が出ている。
 渋谷→横浜を乗り換え検索サイトに入力すると、JR経由と東急経由の両方が候補に上がる。たいていのサイトには前後の便や数分後の便を検索するボタンがついているので何度か押してみると順位が入れ替わる。湘南新宿ラインは速いけれど、同線より停車駅が少ないFライナーに運良く乗れれば東急が速くて安い。
 ただし、サイトの推奨をうのみにするのは間違っている。渋谷駅から乗車するのであれば、JR渋谷駅は東横線地上ホームの場所を譲り受けて繁華街から乗降しやすい場所にホームが移設された。一方で、東横線大深度地下に潜り込み、エスカレーターを何度も乗り換えなければホームにたどり着けない。
 十数分に1本来る始発電車に乗れば確実に座れるが、各駅停車だ。ホームで並び、発車待ちする時間も加味すれば横浜まで1時間かかってしまう。
 このように、安いというだけで、単体では競争力が低い路線なのである。副都心線沿線から利用する人であれば渋谷の乗り換えがないので東急の方が優勢かもしれない。以上は2022年2月現在の状況。
 現在の東横線は渋谷を出発すればほとんどの優等電車が横浜に向かうが、この一部が新横浜に向かうようになったらどうなるか。
 急行や特急が来ても相鉄直通線だったら、横浜方面利用者は1本乗り過ごすことになる。乗車所要時間は変わらなくても待ち時間が加えるのでさらに横浜が遠くなってしまう。山手線の西側から横浜に行く場合は、運賃さえ気にしなければJR一択となってしまう。渋谷から新横浜方面に特急を出すなら、日吉で横浜方面へ接続する電車を待たせておいてほしいものだが、それが各駅停車だったら意味がないし、急行だったらもともと急行に乗っていた人の利便が下がってしまう。
 西武は、副都心線経由で新横浜に乗り入れることを希望していないという。西武池袋線沿線から東海道新幹線に乗る場合、池袋で丸ノ内線に乗る、池袋で湘南新宿ラインに乗り換える、山手線で品川に向かう、日吉で乗り換えるといった様々な選択肢があるので、直通に拘る必要はなかろう。
 みなとみらい線利用者から見ても、都心方面の優等列車が間引きされると感じるだろう。
 横浜駅は相鉄に続いて東横線にもスルーされることになる。副都心線ができて池袋や渋谷はスルーされると言われていたが、懸念されていたほどイメージは低下しなかったので問題はないだろう。

安定輸送は実現するのか

 東武東上線西武池袋線西武有楽町線東京メトロ有楽町線東京メトロ副都心線東急東横線東急目黒線東京メトロ南北線都営三田線、東急新横浜線、相鉄新横浜線相鉄本線JR東海道貨物線、JR横須賀線、JR埼京線、JR川越線
 これらが絡み合う。さらに言うと、これらの路線がJR総武線快速、りんかい線みなとみらい線など、さらに別の路線と接続したり、線路を共有している。埼玉、千葉、東京、神奈川の1都4県。
 人身事故が起こったらどのようにダイヤを回復するつもりなのか。
 相鉄線は競合路線同士も繋げてしまう。東急が止まったらJRに行けばいいかと思っていたら、そちらも影響を受けてしまっている。湘南新宿ライン東海道線は北関東や静岡まで影響を与えてしまう。1駅のアクシデントが首都圏全域同時多発テロになってしまうかもしれない。
 そして、このような複雑なダイヤの運行に慣れるまでどれくらいかかるだろうか。終日ダイヤ通り走れたのは前回いつだったっけ?ということにもなりかねない。東京メトロ副都心線で混乱を招き、小竹向原駅付近の地下に渡り線を建設して改善を図った。
 これはすごく難しいプロジェクトだ。関係者の方は大変だ。