JR東日本で旅客向けアプリケーションの更新が続いている。きょう2021年6月27日からはえきねっとが一新された。
JR East IDと、えきねっとIDの入力欄を同じ画面上に並べるという意味不明な仕様をやめるなど、いくつか改善されたことは認めよう。
ただ、相変わらず、実際の利用者がテストしていないでしょ、としか思えない部分が散見される。
まず、最初に規約がだらだら出てきてそれに全部同意させられるが、何を理解してほしいか簡潔に1枚にまとめたらどうか。
それと、画面を進めるごとに何回かポップアップが出てくるが、スマホ時代にポップアップはやめてほしい。
一番気になったのが、新幹線駅の自動改札を交通系ICカードで通過するために登録した結果を通知するメール。
XXXX XXXX さま 会員番号:XXXXXXXX この度は、えきねっとをご利用いただきましてありがとうございます。 ICカード情報の変更が完了いたしました。 ※変更前のICカードではご乗車になれませんのでご注意ください。 ■予約番号 XXXXXX ■申込内容 ==基本情報== 乗車日:XXXX年XX月XX日 区 間:那須塩原(XX時XX分)→東京(XX時XX分) 人 数:おとな3人、こども1人 ==列車情報== (1列車目) 列車名:やまびこXX号(東北・北海道新幹線) 区 間:那須塩原(XX時XX分)→東京(XX時XX分) 設 備:指定席 割引等:トクだ値50%OFF 座 席:XX号車 X番X席 IC番号:JEXXXXXXXXXXXXXXX 座 席:XX号車 X番X席 IC番号:JEXXXXXXXXXXXXXXX 座 席:XX号車 X番X席 IC番号:JEXXXXXXXXXXXXXXX 座 席:XX号車 X番X席 IC番号:JEXXXXXXXXXXXXXXX ==乗車券情報== 区 間:那須塩原→東京 期 間:1日間有効 ≪申込内容の確認・変更・払戻(取消)はこちら▼≫ https://www.eki-net.com/Personal/reserve/(以下略)
全く改善されなかった
航空便の場合、保安上、どの席に誰が座っているか把握するため、誰がどの座席につくかが決まっている。ところが、JR東日本はICカードの裏側に書いてある長い呪文を覚えて駅に来いと言っている。
車掌からすれば問題ない。今は、指定した席に誰かが座っていれば車掌は気にしない運用なので、特に気にしなくてよい運用である。子ども料金で予約した席に大人が座っていても、4人連れが4人で座っていれば問題ない。だから、係員からは文句は出ないだろう。
しかし、乗客はそういうわけにはいかない。
上の例で、4人のうち1名キャンセルしなければならなくなった場合にどうするのか。
残った3人は、キャンセルされていない席に座らなければならない。
新幹線で4人だと、3人掛け3人+1人あまり、とか、2人掛け×2列などで予約される。1人あまりを解消しようかな、とか、通路側をキャンセルしようかな*1、とかふつうは思うものである。おばあちゃんの席を通路側に移動して、窓側だけ解約しようといったことを考えることになる。ところが、メールを見ても誰がどこに座る予約になっているのかよくわからない。登録するときに暗記しろということか。
ANAやJALのように、誰がどの席に座るかをメールに書くべきであろう。えきねっとを操作してる間は、ICカード番号に愛称をつけることは可能で、「おねえちゃん」とか「おじいちゃん」とか登録しておくことが可能になっている。もちろん実名で登録してもいいけど。ところがメールを受け取るとICカード番号だけ。
実は、えきねっとアプリで見ると愛称を確認することができる。ではなぜメールをそのままにしたのか。そのままというのは正確ではなく、旧システムとは文面が異なるから誰かが記載内容を設計しているはずである。マルチチャネルで情報を出力しているのであれば、アプリで見られるからいい、ではなくて、アプリでもメールでも情報を確認できるように作るべきなのではないのか。
先日のモバイルSuicaアプリに続いて再びこれだ。この会社、本当にセンスがない。巨額の投資をして刷新をしているはずだが、どこのベンダーがこれを作っているのだろうか。そして、誰がレビューしているのだろうか。
ANA、JALに追いつくにはあと10年くらいかかりそうである。ただそんなに時間は残されていないのではないか。MaaSが始まればMaaS業者が予約を管理するようになる。旅行会社に頼っていた発券を努力して自社サイトに引き戻しつつあるのだと思うが、これではグローバルのITジャイアントか、楽天、Yahoo!あたりに主導権を奪われる。「JRのきっぷをJRから買うのは時代遅れ」という見出しが雑誌の見出しになる。
*1:トイレが近い人などは窓側をキャンセルするかも