ポイントカードに未来はあるのか

ポスト現金決済市場は、段階を踏んで発展している。

  • 第一段階: 回数券、商品券、磁気プリペイドカード
  • 第二段階: 日常の買い物をオンラインで決済
  • 第三段階: 財布の現金などに代わって非接触媒体(ICカードまたはおさいふケータイ)で決済
  • 第四段階: リアルの買い物でも非対面決済
  • 第五段階: 決済処理を意識することなく自動課金(無人コンビニ、顔パスの自動改札など)

 第一段階のころのポイントカードは発行店のみ有効のスタンプカードくらしかなかったとして、その後Tポイントが現れて業態横断のポイントカードができた。Tポイントは画期的な発明であり、様々な企業が追随したが、その後、現金決済の進化に対応できているだろうか。ポイント事業者は、どこの段階でも決済への参入に失敗している。

 第二段階では、JR東日本がパソコン用ICカードリーダーを使って家でもSuicaを使った決済をできる仕組みを作った。ビューカードを使うとオートチャージのポイント還元率が高いため、オートチャージでチャージしたSuicaを家でも使えるとお得感があるが、JR東日本はどんなアプリを作ってもUIがいけていなくて普及していない。amazon楽天ができる前は、クレジットカード会社や流通各社がネットショッピングサイトに挑戦し、挫折している。

 第三段階では、Tポイントの電子マネー化を狙ったTマネー。今やTポイントアプリにはPayPayが表示されるようになった。Tポイントのブランド価値を低下し、ファミリーマートなどの離反を招いている。おサイフケータイGoogle Payにはポイントカードを導入する機能がついているが、あまり使われているとは言えない。モバイルPontaはいい仕組みだと思うが、誰も知らない。

 第四段階が、さきほど別の記事に書いた、マクドナルドアプリの動きである。マクドナルドの店頭ではWAONやiDなど、幅広い決済手段が使えるが、マクドナルドアプリで使えるのはクレジットカードとLINE Payである。コカコーラのCoak Onアプリは、QRコードのペイメントが対応しているが、ポイントカードはやはり非対応。スターバックスはLINE Pay。

 楽天ポイントカードやdポイントカードは、自らの経済圏からこぼれ落ちた店頭決済を拾うための仕組みであることは理解している。ただし、いったん拾ったものがオンラインに移行しようとしているときに全く拾おうとせずにこぼしてしまっているように見える。

 第五段階はこれから普及が始まるもので、どんなものが普及するかはまだわからないが、第五段階の到来自体は確実である。その完成は対面決済の消滅、そして対面決済で用いるポイントカードの消滅を意味する。ポイントを配る商慣習は残るのだろうか。

セブン&アイ

イトーヨーカドーのポイントカードはやめて、ポイントを貯めたい人にはnanacoを誘導。セブンペイが失敗した後、次の戦略を立てているのだろう。

イオン

WAON王国健在だが、イオンの店頭ではQRコードなどに対応し、何でもどうぞになりつつある。イオンカードセレクトは金融一体型カードとしては優秀だと思うが、WAON決済は金融での優遇獲得の目的になってしまい、使っていてお得な感じはあまりしない。イオンが悪いのではなく、新興勢力の大規模還元を前に埋もれがち。イオンでしか買い物しないイオン信者向け。

ローソン

ローソン銀行を作ったけれど、新サービス現れず。Pontaをどこまで引っ張るか。

ファミリーマート

Tポイント連合から離脱。どのポイントでもどうぞになってしまった。ファミペイの普及も地味。ポイントを利用したビッグデータの収集は諦めたように見えてしまう。

楽天

Edy楽天ポイントカードがあるが、リアル店舗における経済圏組み入れをどう進めたいのかはよくわからない。5G戦略も構想先行でこれからに期待。

ソフトバンク

PayPayにて個人、中小商店への食い込みを狙う。ポイントキャンペーンの対象を毎月変えているので、様々な業態に浸透を図りたい考えが明確。LINE Payをどうしたいのかは不明確。

メルペイ+Origami Pay

店舗でも使える決済は付加価値であって、本業ではない。不用品交換市場で生き残れるのであれば当面は辛抱か。

d払い、au pay

新興勢に追随して高還元の消耗戦をしているが、ドコモ加入者のもの、au加入者のものという先入観が邪魔をしているような気がする。数千万単位の携帯電話加入者が毎月使う料金振替口座を使って家計の支出をまとめるチャンスがあったかもしれないが、ゲームやアプリの課金くらいしか取り込めていない。クレジットカード番号を入れればまとめて払いを使う必要はない。

Tポイント

Tポイントのサイト「Tサイト」にて「提携先」とされているリアル店舗の加盟店はたくさんあるが、業界トップシェアのリアル店舗があまり出てこない。Yahoo!クロネコヤマトなど、ないわけではないが、どちらもアプリ注文ができるようになっている。Yahoo!の通信販売ではまだTポイントがつくが、PayPayモールで十数パーセントのポイントがつく中で1%の還元率は地味に見える。いつTポイントがなくなっても不思議ではない。別のポイント事業者と戦略的に提携しなければならない時期が訪れるだろう。

アフェリエイト

自社のサイトを経由するとポイントがもらえますの類は、ポイントを渡す側がメリットを感じなくなって還元率を下げると魅力が下がる。いつまで続くのかは微妙。

家電量販店

自社アプリでもポイントがつくようになっているが、楽天amazonに出店しているところでは出店先のポイントしかつかない。低価格帯の家電はホームセンターなどで買えるようになっている。かつて高額だったテレビも、普及品は安い。すると高額商品の種類が減って、普及品を家電量販店に行く機会が減ると、家電はいつもXXカメラで買う、というような習慣がなくなってしまう。洗濯機や冷蔵庫を買ったときのポイントを使うために、後日再来店して電池を買う、といった見込みも立たない。家電量販店は今後何で囲い込みをするのだろう。薬やおもちゃ、布団に酒まで売っているけれど、それらも通販でいいかなと思ってしまう。高齢者狙いなのだろう。

ビジネスホテル

出張の常連が宿泊先を固定するのは、フロントでのやりとりを新たに覚えるのが面倒だからであり、そこを解決するアプリが出てくるとポイントの意味はなくなってしまう。たかだか半日くらいの滞在なのにチェックインやチェックアウトのときに時間がかかるホテルがあり、懇切丁寧が説明がついてさらに長くなる場合があるが、Webサイトに書いておいてくれればいい。

クレジットカード

高還元カードは相次ぐ還元率改悪で会員の信用を失っている。オンラインはアフェリエイトをやっている程度で、次世代技術への対応は進めているのだろうか。

マイル

航空会社のマイルは、他頻度利用者向けのサービスとしては安泰だと思う。

来年、再来年になったらどうなるか。後で読み直してみよう。