フレッツ光を撤去

 フレッツ光を光コラボレーションモデルの光コラボレーション事業者回線(コラボ回線)に転用して使い続けていたが、この度、解約することになった。
 フレッツ光に代わる回線を申し込んだのは2020年の緊急事態宣言の前のことであるが、自粛期間中に在宅工事が行えたため、在宅時間の調整が比較的容易で、工事はスムーズに進んだ。今どきは携帯電話回線で自宅の回線を作る方法もあるのだが、どこかに建物が建ったりするだけで電波が不安定になるのは困るし、携帯電話のサービスはこれから5Gに向けて進化しようとしているので、ダークファイバーを使った業者を採用することとした。
 コラボ回線を解約したきっかけは、その業者が提供していた割引が受けられなくなったこと。個人的には実質値上げであった。
 サービス自体には問題なかったが、納得いかなかったのが契約管理である。200Mbpsのハイスピードタイプから移行したが、サービスは1Gbpsだと謳っていた。1Gbpsにするには機器の変更が必要かもしれないので、申し出が必要なのかなと思っていた。ところが「あなたの契約回線規格が何かは把握していません」と言われた。回線実効速度は確かにベストエフォートなので300Mbpsくらいの家があれば、60Mbpsくらいしか出ない家があってもおかしくはない。他社であるNTTが提供しているサービスだから、実態について責任を持てないというのは契約書で理解している。しかし、100Mなのか200Mなのか1Gなのか、どういう規格の回線を提供しているのかは把握しかねますというのはサービス提供者としてどうかと思う。
 サポートセンターに電話したときに3部署くらいたらい回ししてくれたのだが、わたしは自ら電話料金を払ってオペレーターが回答に困っている様子を楽しんでいたわけではない。お金を払ってもいいから規格を1Gにあげてほしいとお願いしたのである。ところが、できるとかできないではなくて「わかりません」だったのが驚きだった。お願いされたらイエスかノーかで答えなさい、というのはオペレーターの鉄則だが、特に技術部門のようなところ*1に回された時の回答が特にぐだぐだだった。
 嫌ならば収用替えしてくださいと提案してきたが、それは解決策になるのであろうか。工事業者に来てもらって、今の回線を全部外して新しい回線を引いたとして、その後で同じサポートセンターに連絡をして聞いたら「やっぱり今もわかりません」ということになるのだ。顧客に提供している回線の規格がわからないというのはそういうことである。実際、200Mbpsよりは若干スピードが出ていたようにも見えるが、真相はよくわからない。そのためにまた工事をしたり、ひかり電話から引き継いだ電話番号が変わってしまうのでデメリットの方が大きかった。実質速いからいいとか、遅いからいやだとか、そういうのとは違う。
 例えるならば、ラーメン屋に入ると、好みを指定できることがある。味の濃さについては、主観に左右される。指定できるが、それで完璧に期待通りのものを出せるとは限らない。もし薄かったらごめんなさい、ただしテーブルにある調味料で調整できますよ、というのは理解できる。ただ、ラーメン屋が「うちが出しているものは醤油ラーメンかもしれないし、味噌ラーメンかもしれないし、よくわかりません」と言ったときに「高い寿司屋のように、お任せということですか」と問うたら「いえ、店員にも何を出しているのかわからないのです」と言われて「はい、わかりました」と言えるかどうかという話である。
 NTTが社内管理しているデータベースには、どの電信柱のどのケーブルを使って、どの電話局からどう配線しているのかの情報がある。その回線を借りて営業している側として、「何を提供しているか把握しておきたいので見ておきたい」となるのか、「NTTに管理を任せておけばいいか」となるのか。どうも、関心がないのか、見切り発車でサービスを開始してしまったのかどちらかのようだ。
 数年前のことなので、今同じ質問をしたら違う答えが返ってきたかもしれないが、また保留音を聞かされたのちに同じ答えが来るかもしれないと思うとやってられない。
 それで安いならば仕方がないとも思えるのだが、他社はうちは10Gです、5Gです、あるいは2Gですとか言っている中で安い価格を打ち出している。NTTのフレッツ光もそれほど高くはない。それならば変えようかとなった。
 携帯電話会社からは、時々手紙が来る。ライバルに既存顧客を奪われやすいので機種交換時に使えるクーポンなどが入っている。ただ、固定回線については全然連絡がない。電気も水道もガスも領収書くらいは送ってくるが、通信はそれもない。電気やガスが検針票廃止を進めているが、通信と同じように非接触を目指しているのは改悪なのではないかと思えてしまう。

解約の電話をする

 新しい回線の業者から、現回線の解約を申し込むのは新回線が開通してからにしてください、と言われていた。だから、素直に従って、二重になってから電話を入れた。一度に2回線使うことはないので料金が二重にかかってもったいないのではあるが、1日も空白を空けずに光回線を確保するためには仕方がない。
 コロナ自粛要請が出ている今、携帯電話のショップが短縮営業を行っているが、テレビコマーシャルではほぼすべての申し込みがネットでできると告知されている。今回は携帯ではなく固定回線ではあるが似たようなものだとすると、「ほぼ」に含みにくいもののひとつが解約手続きである。契約は好きなときに解約できる自由があり、契約内容によっては解約手数料がかからずに解約できる期間に制限を設けている場合がある。だから解約はいつでも受け付けるようにしなければならない。しかし、いざ解約しようとするとインターネットサイトの顧客向けサイトには解約のメニューがなく、長い時間、保留音を聞かされることとなった。
 事業者側に立ってみると、解約時に予め結んでおいた約束に反することによる違約金がかかる場合があり、きちんと録音しながら同意を取っておかないと後でクレームになることを恐れている。
 そんなものを恐れるくらいならばいわゆる「縛り」の方をなくした方がいいのではと思うが、なかなかそういうわけにもいかないようで、わざわざ電話で顧客に申し出をさせるというプロセスを残している。固定回線の場合は回線撤去で数万円かかる案件もないわけではなく、仕方がないともいえるが、それなら3か月前から解約予約を受け付けるとしておけばいいのではないかと思う。制約事項を全部印刷して送りつけて、それでもよければもう1回ネットから正式解約の手続きに進んでください、とすれば電話は不要である。それができないのは、制約事項を完璧に網羅した文書を作成することができないからである。それだけサービスが複雑になっているということだ。
 ただ、オペレーターに会話させれば大丈夫なのかと言うと、そこにもリスクがある。解約のオペレーターは、オペレーター派遣会社の中でも比較的経験のある人が担うことが多いと思われるが、その人のうっかりで大事なことを伝え漏らす可能性がある。いくらチェックリストを用意してもチェックマークを入れるのがルーチンになっていると意味がない。また、チェックリストを見ながら顧客と対話させると、チェックを入れることが目的になって「いいよな、いいよな、これでもいいよな」「はいー、お前が言っていったから解約ね、ばいばい」というような感じの流れになりがちである。もちろん話し方は丁寧ではあるが、丁寧に言ったからと言ってどういう構えで電話を受けているかは社会人を少し経験してみればわかるようなものである。若いバイトさんはあまり世の中をなめないほうがいいと思う。

撤収

 携帯電話のナンバーポータビリティとは異なり、実質的な引き留めはなかった。もう高収益部門ではないのだろうか。
 話の中で、機器の返却について説明があった。

  • コラボ事業者が貸与した機器は自分でお金を出して返送してください。
  • NTTが貸与した機器は返送用の部材が送られてくるので返送してください。

解約にお金がかかることは契約時に説明がなかった。しかも、コラボ回線を使っている間、コラボ事業者から貸与された機器はほとんど使っていなかった。これまで月々割引を受けていたが、解約するといったとたんに返金を求められているようなもので、気分がよくなかった。
 現回線の撤去についてはNTTさんが決めること、という感じで関知しないらしい。後になって在宅不要で撤去するという通知がNTTから来たが、元NTTのサービスだったというだけ、わたしはコラボ事業者と契約していたのだから、最後まで責任を持てよ、と思った。ただ、これが後発勢力とNTTとの力関係なのだろうなと思った。どんなにNTTと競争だと言ってみたところで、ラストワンマイル(特に電線から宅内までの間)は、NTTがいないと何もできないのが日本の通信会社の現状である。

NTTへの機器の返却

 機器の返却には、開通の時にいらなくなった箱を取っておくということがとても重要である。箱がないときに宅配業者に梱包を頼むとさらにお金がかかる。ちょうどいい大きさの箱を探してきて梱包材を詰めるのは面倒くさい。店頭に並べる商品のような、目立つ箱ではないので地味な段ボールであるが、「捨てずに保管してください」と大きな文字で書くべきではないのかと思う。ちなみに今回の新回線のときは代理店の人からさりげなく注意があっただけ。
 契約終了から数週間たち、忘れたころにNTTから郵便が届いた。
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箱が届くのかと思っていたら封筒だった。それでも中には折りたたんだ箱が入っているのかと思ったら、なんと紙袋だった。
 コラボ事業者のオペレーターに「機器の箱はとってあるのですが、それは使わないのですか」と聞いたら「ああ、はい」「送られてきたものを使ってください」とあいまいな返事だったが、オペレーターはNTTのオペレーションを理解していなかった。同封された書類には

機器受取時の箱または、お手持ちの段ボール等にいれて返却願います。

とある。というか、NTTさん、コラボ事業者というくらいなのだから、コラボ先にしっかり指導した方がよくありませんか。やっぱりNTTに頼まないとだめだな、と思わせる作戦ですか。
 偶然かもしれないが、紙袋は元の段ボールぴったりの寸法だった。
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紙袋に送られていた伝票を貼る。伝票はシールになっているので糊は不要。少し入れにくかったが箱を入れてシールで封をする。郵便局か、ゆうパック提携のコンビニエンスストアに持ち込む。届いた書面には何も書いていないが、送料は不要である。
 NTTから送られてきた書類に、問い合わせ先が書いてある。
 「NTTのサービスをご契約のおさま(フレッツサービス)」は、0120-116116。
一方、
「光コラボレーション事業者のサービスをご契約のお客さま」は、

ご利用されていた光コラボレーション事業者にお問い合わせください

とある。これは重大な誤りである。解約者のもとに届く郵便が何かもしらないオペレーターが、郵便の中に入っている書類に関する質問を受けられるはずがない。NTTとコラボ事業者は、両者揃って質問には受け付けられない状態を生んでしまっている。
 コラボ事業者のオペレーターは、回線撤去の申し込みはNTTと話し合ってくださいとし、今回の申し込みがあったことはNTTに通知するが、この後で問い合わせをもらっても我々からはNTTにお願いできません、とも言っていた。コラボ事業者はNTTに撤退処理を押し付けようとしていることがわかるが、NTTはすでに自社を裏切って転用を選択した元契約者のことを大事にするはずがない。コラボ事業者を通じて間接的には顧客であることに変わりはないはずだが、利益はわずかなのだろう。少しでも0120-116116にかかってくる電話を減らそうとするが、自社から出したキットに関する質問くらいは自分で受けたらどうか。
 ただ、送られてきたご返却キットは非常にうまくできているので、迷うところはない。ぎりぎりセーフといったところだろうか。
 引っ越しなどであわただしくしている人にとってはこのサポート品質はつらいのではないかと思う。

コラボ事業者は、素人には危険

入るときは親切でも、やめるときは大変なので要注意である。

*1:技術部門のふりをした単なる同僚オペレーターだったのかもしれない