正味受け取り額を開示せよ

金融機関で特定口座を作ってリスク商品を買うと年間取引報告書というものが送られてくる。普段インターネットの取引サイトにアクセスすると最新の残高が表示されるが、これは仮の数字であって、最終成績はこの報告書を見ないとわからない。

先日、ある口座を完全解約した。画面では解約手続きが終わるまで1ヶ月以上にわたって数パーセントの利益があるとを示していたが、清算が終わったあとの年間取引報告書を見ると、マイナスになっていて、源泉徴収された税金が還付されていた。清算が終わっているのでこの報告書より得することはない。

差し引き10%以上の差異がある。金融商品の配当などのたびにちょこちょこ小銭が入ってきてはいたものの、最後に10%取られるなんて聞いていない。

何かの手数料? 為替の影響? でも二桁台になるとは思わなかった。

保険で中途解約金をとられるのは仕方がないが、それは満期まで続けると約束しているからだ。投資信託や外貨普通預金預金は満期という概念がないにもかかわらず、手切れ金を要求してくる。死ぬまで売らなかったとしても、相続のときには財産が処分される可能性があり、その場合は払うことになる。最後の別れであるから、気持ちよい別れとしたいのだが、相手からは去り際に裏切り者と言われているような気分にさせられる。

例えば外貨預金では円貨から外貨の両替は手数料を安く抑えるが、逆では両替レートがやたら不利に設定されていたりする。契約時に商品説明を読み込んだとしても、運用中に気にすることはない。そして解約時に思い出す。

こんなことを言うと、長期投資すれば、いっときの手数料は気にならないと言われるのだろうが、がんばって1億貯めたとしたら、逆ご褒美として1千万抜くということだ(10%ならば)。

現在の残高だけでなく、今解約したらいくら残るのか日々開示してほしい。

金融機関が差別化したかったら解約時返戻率の実績開示しかない。直近解約した人の統計をとるだけでいい。最新残高を1口座ずつ計算したら大変だろうから、そこまでしなくていい。商品設計に自信があるならやれるだろう。

相場低迷時や円高局面では返戻率が下がるだろうから、ここで焦って売らないでと抽象的に忠告するのではなく、具体的に数字で示してもらいたい。

生命保険業のコスト構造を開示したライフネット生命のあと、次は何の情報開示があるのだろうかと楽しみに待っている。しかし、このままディスラプターが現れるまで沈黙を続けるかもしれない。