来店ポイント廃止

ローソンが2014年8月末でPontaに加算される来店ポイントを廃止する。
ローソンのポイントシステムでは、100円買うとお買上ポイントが1ポイントが加算される。ところが実際は500円払っても4ポイントしか加算されない。なぜならポイントは税抜き価格が対象で、消費税が上がるにつれ実際払った金額に比べて少しポイントが少ない感じがする。それを補うのが来店ポイントであり、500円買うと合わせて5ポイント加算されていた。これが4ポイントに下がるのである。
「来店ポイント 廃止」で検索をすると、様々な有名小売店で来店ポイントが廃止されてきた歴史を理解することができる。通う楽しみを与えてきた来店ポイントだが、来店ポイントだけをためる人は店にとって好ましくないということなのだろうか。ローソンの場合はボーナス加算される商品を増やしてきているが、こつこつ通う人に代わって、ボーナス商品を選んでくれる人が優遇されると言う現実をポイントカード保有者は理解すべきである。デフレの時代は来てもらえるだけで大歓迎だった店が、インフレの時代になると冷やかし客はコストの無駄とみなされているかもしれない。
ここで気になるのが、店側が持つビックデータの性質が変わるということ。これまで、売上を決めるのは顧客のニーズに加え、天候やイベントなどの外部要素、そして店内の陳列や広告によるアピールであった。ここにポイントが高いから買うという新たな要素が加わる。ボーナスポイントの付与は誰の意向で行うのかわからないが、売上向上が商品の魅力によるものなのか、それともポイントにつられただけなのか、どうやって分析していくのだろうか。
通うだけではたまりにくいという事実が浸透した結果、「近くにセブンイレブンとローソンがあるけれど、Pontaを持っているからローソンに行こう」という人よりも、「高ポイント商品があるからPontaを続けよう」という人の比率の方が増えるのである。店へのひいきから、ポイントへのひいきへ。そういった偏りのある人向けに個人向けマーケティングが成功するのだろうか。
通うだけではたまりにくいポイントシステムは少額決済ではますますたまらない。Suicaのポイントクラブは金曜を除くともともと200円で1ポイントであり、当初からローソンのように特定商品のみ優遇するシステムだった。自動販売機でもたまるようにしたが1本200円未満の商品がほとんどのため、100円で1ポイントにしている。ところがヤクルトは2本90円である。ヤクルトは何十本買っても1ポイントもたまらない。結局ポイントが欲しい人はまとめ買いやついで買いをしてしまいがちだ。ポイントで得をしているのは客ではなく小売の方である。
セブンイレブンは2014年の消費税増税後、nanacoポイント2倍や、特定ジャンルでは5倍のセールをやった。ポイントシステムの差別化という観点ではnanacoの戦術の方がお得感が高い。