千葉方面ライナー改善

都心東西通過交通が貧弱

東北循環線(上野東京ライン命名)の開通が発表され、南北直通の優等列車が新たに設定されることになる。しかし、東西の直通は不十分である。

  • 山手線: 東側と西側の駅には乗換なしで行かれるし、便数も多いが、環状線のため大きく迂回
  • 東西線: 山手線との接続が高田馬場であり、新宿・渋谷を経由しない。東京駅での乗換も不便。
  • 中央線快速: 曲線の連続で、一部区間では緩行線に追い抜かれてしまう遅さ。また、東京駅の乗換も不便。
  • 都営新宿線: 新しい路線で乗換が不便。急行は昼間のみの設定。
  • 半蔵門線: 渋谷は便利だが、東方面は清澄白河から、北に向かう。
  • 銀座線: 渋谷は便利だが、銀座からは北に向かい、浅草止まり。
  • 大江戸線 新しい路線で乗換が不便。

鉄道ではないが、車も同じ。

東京西部に住む人々にとって、千葉や臨海副都心が遠いということになっているが、まっすぐ向かってくれる路線がないことと、優等列車が少なくて遅いのである。さらに、途中の乗換駅からの接続が不便である。中目黒、代々木上原、下北沢、笹塚、明大前、横浜というと接続の電車がばんばん来るというイメージだが、新木場、綾瀬、青砥・高砂、勝田台、西船橋船橋津田沼、千葉、南船橋蘇我というと、特に夜間帰宅時の乗り換えだと10分20分は覚悟しなければならないイメージである。
羽田空港から千葉県方面行きの高速バスは首都高速湾岸線またはアクアライン経由でまっすぐ千葉方面に向かうため、競合の鉄道に比べて圧倒的に快適で、所要時間も短い。湾岸線は曜日によっては渋滞が激しいため通勤には向かないが、迂回なく直通で走れれば千葉も便利なのである。
総武線各駅停車は迂回が少ない直通電車であるが各駅停車である。新宿からホームライナーはあるが、自由席を確保するために早く行くと隣のホームからどんどん快速電車が発車する。御茶ノ水-錦糸町間は混雑区間にかかわらず複々線ではなく、各駅停車の後ろをついていくことになる。ライナーは座るためだけの列車であり、速くない。特急の本数もわずかである。
京葉線を新宿まで延ばす計画がかつてあったそうだが、やはり皇居の地下は掘れないのか、今では全く聞かれない。

りんかい線経由ライナー

そんな中、千葉市が打ち出したのが山手線の西側からりんかい線経由で千葉市方面にライナーを運行するという案である。夜の新木場駅は乗り換え客でホームが飽和状態である。新木場で降りずに東西間を通過できれば、乗り換えにかかる10分が短縮でき、一層便利となる。臨海副都心を経由するのはやや迂回気味だが、乗り換えがないだけでも負担が軽い。
鉄道に関する掲示板や、新聞各社の報道では、新木場での乗り換えがないとICカード乗車券の料金計算がJR経由となってしまい、りんかい線の料金がとれないことを問題にしている。これ自体はライナー券りんかい線の料金を含めるとともに、JRの料金はりんかい線を経由しない経路で計算すればよいというルールにすることで回避できる。ただ、その場合ライナー券の料金は500円よりも高くなってしまうかもしれない。
JRが他社線を通過するのは寝台特急にもあり、りんかい線だけできないということはない。ただし、ここは通勤路線であり、最も大きな課題は、定期券を持っている乗客の不公平感である。新宿-蘇我間のライナーを運行するとして、いろいろな乗車券で比較してみる。

1 定期券を持たない乗客 運賃950円+ライナー券(りんかい線料金込み)
2 新宿-東京-新木場-蘇我ICカード定期券を持つ乗客 追加運賃0円+ライナー券(りんかい線料金込み)
3 「新宿-大崎-りんかい線新木場」と「新木場-蘇我」のICカード定期券を持つ乗客 追加運賃0円+ライナー券(りんかい線料金込み)
4 大崎-りんかい線新木場経由-蘇我ICカード定期券を持つ乗客 追加運賃290円+ライナー券(りんかい線料金込み)
4 新木場-蘇我ICカード定期券を持つ乗客 追加運賃290円+ライナー券(りんかい線料金込み)

りんかい線の乗車券を持っている人と持っていない人が同じ扱いだったり、りんかい線の乗車券を持っている人がりんかい線の運賃込みのライナー券を買わされることになる。3の場合は理論上は0円だが、蘇我で降りるときに定期券に乗車記録がなく、改札を通れなくなるかもしれない。りんかい線内の駅に途中停車させる意見もあるようだが、料金計算がさらに複雑になる。
これらの問題をもっとも小さくするには、中間改札が有効である。ライナーの乗車駅に改札があれば、りんかい線経由で乗ったことを識別することができる。ライナー券は運賃を含める必要はなく、乗車券は実際の経路で計算するとともに、JR区間は両端を合算して、初乗り運賃が二重取りにならないようにする制度を作ればいい。ただし、駅に中間改札を設置する空き地がない。
JR東日本には、携帯電話で発券するライナーと紙の乗車券しかないライナーが存在する。東京・新宿発千葉方面のホームライナーは紙の乗車券で、ホームの現金専用券売機でライナー券を購入し、列車の入り口でライナー券のみの検札を受ける。入線から発車までに時間があり*1、乗車口を限定するのでこのような方法が可能となっている。今後は券売機のかわりに簡易自動改札を列車入り口に設置したらどうだろうか。現在の検札も扉がないのだから、現在のように検札員を配置すれば大がかりな自動改札機は不要で、係員が持ち込み可能なICカード読み取り機とICカードのチャージ機があればよい。券売機やみどりの窓口の発券を残すのであればそれはりんかい線料金の二重取りもやむを得ないものとする。消費税増税に伴い二重運賃に踏み切ったわけだから、ICカードICカード以外とで料金に差があってもいいではないか。ICカード乗車券の乗客は、わざわざ現金を用意しなくてもライナーに乗れるようになるので、りんかい線直通ライナー以外でもこのようにしてほしいものだ。

なぜ乗せてくれないのか

ところで、総武線を走る現在のホームライナー千葉津田沼からは稲毛、千葉と停車し、通常の快速と同じ停車駅であるが津田沼、稲毛からは乗車させてもらえない。普通運賃で乗れる特急型車両や過去いくらでもあったし、現在も同じ県内の外房線ではわかしお号が普通列車扱いで特急券不要だ。ホームライナー千葉津田沼で客を降ろせば席に余裕があるのに、快速電車の利用者は次の電車まで待たされる。わかしお号とホームライナー千葉の差はどこにあるのか。

*1:秋葉原は例外