柔道世界選手権

柔道の投げ技は、相手の力を横にそらしたり、相手を持ち上げたりすることで成立していた。
ところが国際試合では外国勢が足を持ったり、投げる気もないのに蹴ったり、巴投げ崩れのような捨て身に徹する選手が現れて、下半身への執拗な攻撃は指導の対象となった。
形の上では組むようになったが、外国勢は背中を持って相手を押さえつけるようになった。テレビ中継では外国人同士の試合はほとんど見られないが、背が低い日本人が相手ならば他に選択の余地はないようだ。足を動かしていれば技を狙っているように見えるので指導は取られないが、実は相手を押さえつけて疲れるのを待っているかもしれない。下半身をすくわれると危険な戦法だがそれは封じられている。
腕力がある重量級の選手は、相手を持ち上げるようになった。担ぎ技ではなく、腕力で上から引っ張り上げるのである。相手はUFOキャッチャーでつかまれたぬいぐるみのようになり、どんな技をもってしても対抗手段がない。吊り上げるには相手の体重が加わってもよろけないように足場を固めなければならないが、足を攻撃されなければ問題ない。
かくして、柔道は背中を持つか、相手を吊り上げる腕力があれば勝ちという競技になりつつある。これが柔道戦術の進化形なのだろうか。日本人選手にはこの現状を打破してほしいが、ルール改正も必要だ。背中を触ったら指導を出すようにしてほしい。