夏の電力需要対策

経済学者が、マクロ経済の価格メカニズムを利用すべきだと言っている。考え方には賛成だが、今年の夏における実現性と、今後のことも考えて制度設計する必要がある。

  • 大口需要者の需給調整契約は活用すべきだと思う。経済への影響があるために業務用緊急時調整契約による調整を行わないとすると、誰もが需給調整契約を結んで平常時は割引料金で電力を使用するようになる。それは間接的に割引が適用されない小口契約者にしわ寄せがくることになる。リスクを取って電気料金割引のリターンを受けてきたのだからある程度は仕方がないのだと思う。生産現場の移転や、節電対策投資、自家発電への投資が発生するので、個別では損をするところがあっても、経済全体としては工場を止めた分だけマイナスになるということはなかろう。
  • 東京電力は停電地域や原発周辺地域だけでなく、日本全体に迷惑をかけているのだから、日本全体に賠償を払うべきである。ただし、契約していない人にまで賠償するのは難しいから基本料金を下げるべきだと思う。基本料金は1ヶ月数百円から、高くても1千円台であり、本来はマイナス基本料金にすべきだが、いち早く料金システムに反映できるのは基本料金額を0にすることだろう。不十分だが、システム改修費用に投資が発生するくらいなら賠償金に回してほしい。
  • 契約アンペアで差をつけるべきという議論もある。豪邸は高くしてもいいが、単身者も大家族もひとつの契約で暮らしているのだから、大家族にだけ罰金を科す効果があるのはいいことではない。もともと高めの基本料金を払ってきたのだからますます差をつける必要はない。
  • 基本料金を下げる一方で、需要逼迫対策が必要であるから、電力量料金単価の第3段階を大幅に値上げするとよい。第3段階は300kWh超なので、基本料金との割引を併用できれば、例えば400kWhあたりで損益分岐点がくる。どうしても電力を使わなければならない人が最低限使用する電気の料金上昇は抑えられる。一方、昼間家庭にいる人の冷房についてはピーク時は図書館等公共施設に行ってもらうとともに、夏休みに旅行をしたり、西日本に親類がいる人は疎開するなど、多少努力が必要だと思う。