箱根駅伝 つづき

今年は箱根駅伝の中継を見続けることができました。その理由は以下の2つです。

  • 個人的に家の中で忙しく、それほどテレビに集中していなかったこと
  • 日本テレビに若干名いる絶叫アナウンサーが長い間マイクを独占することがなく、放送中ずーーーーっとしゃべり続けることがなかったこと

よって、アナウンサーの口害(公害)絶叫をストレスに感じることがありませんでした。きちんと間合いをとって実況していて、むしろよかったと思います。2006年に書き込みましたが、わたしの知っている日テレのアナウンサーはマイクを持たされた状態で沈黙が続くのを恐れているかのようで、その様子はわたしにはお笑い芸人にしか見えませんでしたが、今年の中継では、感情に任せた無駄な修飾語を控え、取材対象を予習した情報の中から言葉を選んで仕事をしている職人の存在が認められました。
矢島アナウンサーが総合優勝した早稲田大学の選手にひとりずつインタビューしていました。往路は優勝ではなかったので、復路の5人だけの成果のような気もしますが、往路の結果も復路の選手の精神状態に影響したでしょうからよしとしましょう。巨人戦のヒーローインタビューではお立ち台に2人か3人です。10人連続で自分から選手個人のエピソードを交えながらコメントを求めていました。巨人戦のヒーローインタビューには本当に活躍した選手しか登壇しませんが、たしか往路には東洋大学に抜かれた選手もいたはずです。ところが全員ヒーローのようにうまく扱っていました。早稲田の学生は台本があるかのようによどみなく答えていましたが、走るまではインタービューなんて関係ないので、的確な質問ができた証拠でしょう。日テレも有力校3校に事前取材したら大変な労力です。特に10区のランナーは走り終えたばかりで選手に仕込む時間はありませんので、台詞棒読みのやらせでもないでしょう。テレビのインタビューとしてはとてもお上手でした。
「公道貸切の伝統行事」という貴重な取材素材をうまく活用できていると思います。サッポロビールなどがきちんとスポンサーについて事前取材や中継にじっくり予算をかけられているのでしょう。ただし、テレビ業界全体の傾向として予算が限られてきていると思います。箱根駅伝中継は当面続くとしても、他の番組は大丈夫でしょうか。

ネットとの戦い

スポンサーに見放される前に、ネットに負ける可能性がある

今大会ではGoogle Mapと連動してランナーの走行位置がWebでわかるようにする試みがあったようだが、不具合があってうまく表示ができなかったりしたようである。テレビ中継は日本テレビでさえ中継車3台とバイク1台しか用意できていない。全チームの走行位置をリアルタイム表示できるならば、下位チームを応援する人たちはトップ集団ばかり映すテレビではなくネットに流れるだろう。今年の復路は、シード権争いが展開された後半はおもしろかった。しかし、1号車=1位、2号車=2位、3号車=3位に張り付いていた前半は上位校の関係者以外はちっともおもしろくなかった。
地デジは、技術上は3チャンネル同時放映できるし、データ放送もあるし、ワンセグ放送もある*1。しかし、どの手段も生かせていない。データ放送の情報更新もかなり遅延があり、本放送の字幕よりも遅い。テレビ局の体質として、アナウンス部社員の絶叫ばかりに頼り、「映像つきラジオ」の殻に閉じこもっているのだと思う。
あんなに矢島アナウンサーがインタービューできるなら、豊富な取材メモが存在するはずであるが、箱根駅伝の日テレWebサイトにはその痕跡が見あたらない。ドキュメンタリー番組を後日放送するのだろうから多少は温存しているのだろうが、その宣伝のためにももう少しWeb情報を充実したらどうだろうか。それとも充実する技術がないのだろうか。どうして社員は努力しているのにうまく活用できていないのか。

*1:すみません、今回ワンセグは確認していません