柳田法務大臣、事実上の更迭

麻生内閣で失言が続いていたのを見ていたはずなのに、どうして過去から学ぼうとしないのか。
官邸は組閣本部で大臣を官邸に呼ぶ前に、教育係を雇って、失言防止研修を受けさせてからポストを告げるようにすべきではないか。

  • 思想・信条にかかわることは、スピーチではなく、論文や著書で主張すること。事前に編集のチェックも入るし、マスコミの餌食にされにくい。
  • スピーチでは聴衆の受けを狙うのではなく、政策の話をすること。
  • 自分で話すことを用意しきれないなら、余計な失言をする前に、スピーチライターを雇って常に情報を仕入れること。
  • 政治家資質チェックリストを作成し、月1回以上読み直すこと。

大臣のみならず、中堅・ベテラン議員全員を対象に与党が勉強会を開くべきなのだろう。太蔵前議員以降、新人議員教育は成功しているように思えるが、大臣クラスの失言はなくならない。実態は新人議員が何をやっても太蔵さん超えをしなければニュースにならないが、大臣だとささいなことでも政局につながるからニュースになるというだけの違いなのだとも考えられる。政党はここを認識すべきである。

柳田大臣の成果

柳田発言とは何だったか。注目すべきは、政権交代前は適材適所と言っていた*1民主党も、結局は組織の論理が優先して専門家ではない人が大臣をやっているという現実、そして国会答弁も適当にこなしているという事実を現役大臣が暴露したという点である。質は大きく異なるが、衝撃としては尖閣ビデオと同じようなものである。
そして唯一の成果は、「個別の事案」という逃げの常とう句を使いにくくしたことである。今後、「個別の事案」と答弁することは「答えられません」もしくは「答えたくありません」と同義になった。職を賭してまで答弁改革に取り組んでくれたのだからぜひ今後の大臣にはその意志を引き継いでもらいたい。

答弁廃止

国会答弁がパフォーマンスであり、実際の政策とは全く関係ないことがわかってきた。以前からなんとなくわかっていたことだが、柳田大臣が問題提議してくれるまでは誰も指摘してくれなかった。前夜に質問取りをして、徹夜で官僚が答弁を考え、答えられるか否かを答弁側が勝手に決めつけ、一方的に答えておしまい、という議論の進め方は生産的ではないのである。
司法では、市民の裁判参加がよかったかどうかはさておき、少なくても公判前整理を行って審議を効率よく行う努力は認められる。国会論議というのは、専門外の与党議員が大臣として答弁側に立つという意味では素人が裁判に参加する裁判員裁判と性格は同じである。それならば国会でも公式に公判前整理をきちんと行う仕組みにしたらどうか。事前協議が開催日程だけというのはおかしい。開催日程こそ、官僚か第三者機関が勝手に決めればよい。中身は官僚が決めず、国会議員と大臣・政務三役が決めなければいけない。今は正反対である。
多くの大臣に見解なんてないわけで、答弁を求めても仕方がない。それより、野党は与党の案を批判するのではなく、自分たちの案を出して与党案より優れていることを説明し、大臣には野党案の問題を指摘してもらう仕組みにしたらいいのではないか。野党案を論破できなければ強行採決禁止。論破できたら本会議にて成立。

*1:言っていたような気がする