小学校英語必修化

 個人的には英語授業導入自体にそもそも反対であるが、それはさておき、テレビ報道で見た、教育現場の反応に疑問だらけだった。

  • 「方針だけ掲げても予算が来ない」という。確かにそうだけれど、「予算があればやるからくれ」と言いたいのか、「予算が来ないのはわかっているから余計な方針を掲げるな」と言いたいのか、どちらなのか。
  • 「初めて英語を習う人がわたしたちではかわいそう」という。全国の中学校の先生がばりばりネイティブには思えないのだが。
  • 免許が違うからと小学校と中学校の壁を取り払えないというのは思いこみなのか。人口が少ない地域では中学校教師が小学校で教えればいい。業界の壁を破るなんて、他の業界では当たり前である。どうして小学校の教育を小学校の先生だけで悩まなければならないのか。
  • 「我々は英語の教え方を習っていない。」確かにその通りだ。でも、働きながら新しいスキルを身につけて幅を広げていかなければならない業界なんていくらでもある。子供に勉強しろと言っておいて、自分たちは授業以外にも雑用で忙しいから勉強できないと言いたいのだろうか。あと、前述の通り必ずしも自分たちが授業しなくてもいい。自分たちのことばかり考えず、どうしたら子供に授業を提供できるように工夫できるかを議論をしてほしい。

英語必修化の課題、まずはこのような改革気運がないことだと思う。小学校の先生は総合科をやるだけで精一杯だったのだろう。
 ところで、小学生にどのような授業をしたらいいのかという研究は進んでいるのか。必要だからやるというだけではきちんとした授業はできない。よく幼児向け英語学校で見るような、1時間程度先生との会話を楽しむようなスタイルになるのか。それとも、中学1年の授業の前倒しをやればいいのか。最初は4本罫線の入った英語ノートにブロック体と筆記体の正しい字形でアルファベットが書くのと、"I am ○○○○."をみんなで発音することから始まるのだろうか。小学生向けの英語塾のノウハウが取り入れられるのだろうか。
 やりたくないなら、やりたくないときちんと言えばいい。教育方針というのは何でも改革すればいいというものではない。時代が変わっても教えなければならないものが変わらないということであればそれでもいい。でも、教師という仕事のあり方は、他の業界が懸命に変革努力を重ねている中、「わたしたちは関係ない」ではすまない。