2024年JRダイヤ改正:熊谷知事「すべての人が満足することは基本的にない」

知事の立場で、そんなにストレートに言うんですね。
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千葉県 熊谷俊人 知事

ダイヤ改正はそもそもすべての人たちが満足するものでは基本的にはない。我々は個々の駅の利用者という観点ではなく、県全体のまちづくりや幕張新都心の拠点性への影響、そういう広い次元で我々が総合的に判断して春のダイヤ改正を容認できないと声を上げてきた。それ以上でもそれ以下でもない

各駅停車便数維持で快速を増便するのが千葉の総意とまで言い切っていた習志野市長は、
完全に梯子を下ろされた形。

アクアラインを造っても、圏央道を造っても、船橋から千葉にかけての京葉地区が渋滞する課題は解決せず、むしろひどくなっている。
千葉県と関係8市が大好きな第二湾岸道路を計画しても、東京都心直結、羽田空港直結とはならない。
京葉線に沿って新しい経路ができても、どこかで湾岸道路に接続しなければならない。
そこに新しいボトルネックが発生する。解決にはならない。

わたしはコンパクトシティには賛成で、国土均衡発展論者ではない。
ただ、県のことだけを考えろと言われたら京葉地区以外を切り捨てるわけにはいかないので、ある程度の振興策は必要と主張する。
京葉道路、東関東自動車道、アクアラインだけに頼るのは限界がある。
北千葉道路と国道16号線バイパスは考えてもいいけれど、第二湾岸道路は筋が悪い。

千葉県に住んでいる人に聞くと「千葉駅より南」「千葉から先」という言い方をするのだけれど、
わたしに言わせれば、東京と名乗りたい京葉地区と、ディープ千葉の境界は習志野市千葉市の間にある。
千葉は、県庁所在地でありながら見捨てられる存在である。

総武線快速総武線各駅停車も津田沼止まりが設定され、京葉線にも新習志野止まりが設定されている。
京成も京成津田沼から千葉線に乗り入れる電車はわずかだ。
津田沼から先は滅んでください」が現在の鉄道業界の総意である。
武蔵野快速廃止、快速停車駅見直しに始まるここ10年の京葉線ダイヤ改正は、その総意の反映である。
さらに、2024年3月ダイヤ改正は、その集大成だった。

千葉県としては、千葉のJRには中距離輸送を期待するのが自然。
近距離は、国と東京都が地下鉄を2本も造ってくれたのだから、さらに京葉線まで近距離取り込みをしてもらう必要はない。
そもそも沿線の旅客需要発掘は、2023年に開業した幕張豊砂駅で打ち止めである。
東京都内の湾岸開発がひと段落ついたから、これから千葉県内の海沿いにもタワーマンションを建てましょうと言うことにはなりえない。
千葉県の地価下落は始まっている。

千葉から先、ではなく、わたしの見立てでは、

  • 習志野より先から人を送り込む
  • そして習志野から際に人を送りだす

これらの手段として、鉄道の役割は重要だと思っている。
そのためには、快速全廃は困るのである。

知事も、「県全体のまちづくりや幕張新都心の拠点性への影響」と言っている。
わたしと着眼点が同じではないか。

  • 県全体のまちづくり: 習志野から先を見捨てるな
  • 幕張新都心の拠点性: せめて千葉までは速達サービスを維持しろ

個々の駅を便利にしたいのは習志野市長くらいなもの。
JRは各駅停車利用駅の需要拡大を狙っているのではなく、
複雑なダイヤを運営できないから快速をなくしたがっているにすぎない。

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