習志野市の反発
2024年3月ダイヤ改正に代表されるJR京葉線の快速縮小問題で、JR東日本は2024年9月の変更を発表(5月30日)。
改正ではなく、変更。
沿線の各自治体は納得はしていないけれど、努力に感謝するコメントを出している。その中で、習志野市が猛反発。
習志野市によれば、
変更発表の2日前に千葉支社が来庁して各駅停車減便を通告してきたという。
さらには、千葉の総意は快速の増便であって、各駅停車を快速に切り替えるものではないともいう。
これは習志野市が悪い。
JRは自治体に丁寧に説明をしている。
もしJRに増便という選択肢があるなら費用増がわかっていても除外しなかったはずだ。
3月改正で快速を減らした理由も説明しているはずだ。
想像でしかないが、
- 人口減少時代を見据えたら、車両の増備はしたくない
- 将来のワンマン運転、自動運転を見据えたら、乗務員を増やせない
- 人手不足だから、駅の省力化を進めている*1
- 基幹駅でさえ、委託会社の要員で運営している
- 直通サービスが増えすぎて、運転指令所の勤務も苛酷である
- 武蔵野線が乗り入れていてダイヤが複雑である*2
これらにより、ダイヤ乱れの事態に備えて、ダイヤに余裕を持たせて単純にするしかないのだろう。
京葉線は海沿いを走る。強風に弱くダイヤ乱れが多発する。
高架線に暴風壁を設置する対策が効いてはいるが、幅広い河口に高くて長い橋をかけて突っ切る区間もあって万全ではない。
最近は降雪予報があると計画的に間引き運転をするが、これはダイヤが乱れたら自信がありません、お客さんをさばけませんと言っているのに等しい。
そして、駅ホームの容量が狭い。
舞浜駅はホーム長を延長して総床面積を増やす対策を行ったが、乗客が転落しそうなほど滞留する新木場駅は階段を増やすだけにとどまっている。
本当はJRだって増発したいくらいなのかもしれない。しかしできない。
ダイヤに余裕を持たせて単純にすれば、ダイヤが乱れても特別なことをしなくてよい。
乗客には「来た電車に乗ってください」「とにかく乗ってください」と、壊れたテープレコーダーのように同じことを繰り返せばよい。
さらに言えば、駅に人があふれても「ただいま、20分の、遅れが発生しています。」と機械が単語をつなぎ合わせた自動放送を流すだけにして身を隠していたい。
なぜなら、クレーマーが先鋭化し、カスタマーハラスメントが社会問題になっている。
「次の電車は快速の予定でしたが、ダイヤ乱れのため、各駅停車に変更します」とサービスを下げるようなことを放送してしまったら、暴動が起こって改札の有人窓口がもたないのある。
お金さえあれば、海浜幕張駅の風力発電機を撤去して線を増やし、通勤快速を通すこともできなくはない*3し、
3面2線の名鉄名古屋駅ターミナル並みにがんばれば、東京駅京葉地下ホームの2面4線で増発もできなくはない。
名古屋は途中駅だからできるとか、そんなのは甘えでしかない。
ただ、やりたくても今のJRにはできないのである。
東京駅で短時間で折り返すには、ホームで待機する運転手と車掌を増やさなければならない。
その人たちを急いで集められない。
途中、想像が長くて申し訳ないが、こういうようなことを説明しているはずである。
習志野市が、その情報を取りに行っていないのである。
そのあげく「習志野の便数は維持して快速も増やす」が千葉の総意だと勝手に思い込んでいたのである。
いやいや、他の県市は、増便できないってわかっていたはずである。
だから、努力を認めるコメントになっているのだ。
かつて、東関東自動車道には「事実上」習志野市のインターチェンジがなかった。
「湾岸習志野」というインターチェンジはその名の通り習志野市にあるのだが、出入り口に接している国道の構造上、出入りにあたっては千葉市を経由する必要がある。
このインターチェンジは千葉市のためのものかもしれない。
2013年、谷津船橋インターチェンジが開設された。
www.city.narashino.lg.jp
地元は歓迎しただろうが、千葉県とNEXCO東日本の事業であり、習志野市の事業ではない。
京成津田沼駅、JR津田沼駅から羽田空港へのアクセスが大幅に改善した。もちろん、鉄道ではなく、高速バスである。
JR津田沼駅は総武線の駅である。京葉線新習志野駅付近に住む人は、新木場まで行って、りんかい線で天王洲アイルまで行って、さらにモノレールに乗るよりは、ちょっとがんばって京成津田沼駅前まで行けば座って空港まで行かれる。京葉線利用を回避する効果は十分である。
京葉線新習志野駅には、駅開業にあたり大規模な駅前ロータリーを建設。
鉄道にかこつけて道路だけを造って何もしない発想は千葉市と同じである。
湾岸道路の隣に位置しているため、駅前周辺の道路渋滞が激しい。
バス便はそれなりに確保されているが、自転車や徒歩で来る駅ではない*4。駅周辺の商業施設に集客しているのは巨大立体駐車場である。
周辺の工場への送迎バスは、総武線の駅から出ている。
それでいて、便数が1日12本減るだけで猛反発するなんて。
節操がない。
利用者を粗末に扱う変更だ。あぜんとしており、到底容認できない
JRを粗末に扱ってきておいて、それはないだろう。
京葉線のすぐ横に高速道路を造ろうとしている「新湾岸道路整備促進期成同盟会」に参加する自治体は京葉線の便数に注文を出す資格がない。
わたしは革新政党のように「何でもかんでも道路反対」という立場ではない。
ただ、造りたいなら説明は尽くしたのか。
同盟会はJR千葉支社を直接訪れて、JRの振興策について相談したのか。
この人口減少時代において、本県と沿線自治体は道路を選択しました。
富津館山道路により、内房線は壊滅的です。
圏央道と茂原一宮道路は、外房線を兵糧攻めにしています。
銚子方面にも次々と道路を建設中です。
それでもって、次は、京葉線の番です。
覚悟しておいてください。
相手に対して2日前では遅いと言っているのであれば、自分たちも本音をぶつけてみたらどうか。遅くても2日よりは前に。
自分の胸に手を当てて考えてほしい。
遠方とは関わりたくない
2024年の都知事選挙への立候補を表明した安芸高田市長。
市内を走る芸備線については、JRと将来を話し合う再構築協議会には参加せず、広島近郊の3自治体で別の協議会を立ち上げるとした。
www3.nhk.or.jp
芸備線の末端区間では、極限まで減便しているのに空気輸送が続いている。
安芸高田よりもさらに遠くの方で廃線が決まっても、その区間に安芸高田から行く用事はないから、構わないでくれということだと思う。
県全体でお金を出し合いましょうとなったら市民への説明ができない。
今回の京葉線で言えば、各駅停車増便を訴える新たな協議会を東京都江戸川区、市川、習志野*5で立ち上げたようなものである。
習志野からしてみたら、一宮町や君津市と協調なんかしたくないのであろう。
遠方と、近郊とで、地域の利害が対立するのは仕方がない。
だからといって、今回の習志野のように情報を取りにいかず、減便がわかるまで関与を避けたと言われかねない姿勢は明らかに失策である。
総武線もあるんだし、京葉線もあるんだし、京成線もあるんだし、インターチェンジも造ってもらったし、さらに欲しがるのかねと思うところであるが、
本当に欲しがるのであれば千葉県と関係自治体全体でお金を出したらどうかと思う。