2024年JRダイヤ改正:京葉線通勤快速廃止問題 - 議論にノイズが多い

京葉線快速縮小問題について引き続き取り上げる。
ABEMAの議論を聞いてみた。
youtu.be
一部のコメンテーターが前提を大きく間違えている。他人を揶揄しているだけの者もいるから自分も批判するのは控えめにしておくが、YouTubeなどで記録として残り、誤った理解が広まるのが心配である。

遠くから立って通っている人たちからしたら、二俣新町越中島で空気の入れ替えをわざわざやるのに付き合う理由が納得できないだろう。
そんな中で、JRは各駅停車化により平準化を狙っているのを郊外の自治体が無視しているという意見が目立つ。確かに千葉県知事や郊外自治体の首長は都内や東京寄りの沿線自治体のことを考えてはいないのだけれど、今回は明らかに郊外の切り捨ての方が大きく、偏りすぎていると考えるべきである。
・始発駅からそこそこの乗車率がある電車を各駅停車にしてしまったら路線内、車内に滞留する通勤客が増えてしまうから混雑率は上がってしまう。東京に近い自治体の利用者にとってもよくない。
・朝ラッシュ時に通過する駅周辺は、Amazonが大きな倉庫などを造っているが、一部の企業の人にだけ便数を提供するだけであって、沿線自治体全体が利益を共有するというものではない。
・東京に近い通過駅沿線の住民には、他の代替する交通手段が存在する。しかし、千葉から先はほとんどJRしかない*1

JRは不動産業に熱心で鉄道に熱心ではないという論は、それ自体は確かにそうかもしれないが、人手不足で現場にまともなダイヤを作る能力と体力が残っていないと考える方がわかりやすいのではないか。
・能力については、ABEMAで「各駅停車化で、利便性悪化と効率悪化の両方を招いている」という解説は正しいと思うし、それがJRにわからないのであれば心配である。
・ただ、実はわかっていてJRはやっているのではないかという考え方もできる。つまり、ダイヤが乱れた時には快速運転を中止するが、快速利用者から文句が来る。だからいっそのこと、正常ダイヤの状態でも快速をやめてしまえと考えているのではないかとわたしは疑っている。
内房線外房線総武線快速武蔵野線と絡んでしまっているが、武蔵野線重複区間複々線化などはあきらめてしまった。複雑なダイヤが乱れた時に、正社員を減らし、無人化を進める駅では対応しきれないというのが本音なのかもしれない。

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首都圏各線では、少しずつ車両を間引く方向に動いている。今回の各駅停車化も間引きの一環である。
長距離の速達列車をなくしておいて、同時に特急の両数も削減しようとしているので、ライナー廃止で行われたようなこれまでのような特急利用への誘因でもなさそうなのである。

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ABEMAでは阿部さんの解説がわかりやすかった。通勤快速を海浜幕張に停めるという案はよく聞くし、さらには快速を新浦安通過にするというのは斬新である。まあ、JR千葉支社さんは内房外房9自治体よりも、浦安を敵に回したくないんだろうなとは思ったけれど。

泉さんのコメントがよかった。自分たちの街から座って通える電車を作るなら、車庫を誘致し、社員寮を誘致すべきなのである。そして、協定を結ぶ。お金を出した上で協議しようというのはわかりやすい。
前にも書いた通り、そもそもこの問題の出発点は千葉県政の道路偏重なのである。過去の政治家のつけを払わされるのは大変だろうが、今の政治家ががんばってもらわないと民間会社のやりたい放題である。

*1:京成千原線で都心に通勤するのは大変