銀行口座:開けたらいつかは閉める

とあるキャンペーンで開設した銀行口座。

総合口座を持っていたから、その口座を作るのはインターネットからの申込みですぐできた。

しかし、あまり使うことなく10年が経過。

 

ある日、家計簿ソフトと銀行口座との自動連携により「引出し」という明細が舞い込んだ。

残高が0になっている。日付を見ても銀行に行った記憶はない。なぜ引き出されたのだろうか。

インターネットバンキングにアクセスして取引明細を見たら1件も記載がない。

事故かもしれないと思った。

恐る恐る、見られる画面を一つずつ点検したら6画面目にさりげなく

長期非活動口座

と書かれていた。

長期にわたって資金移動がなかったので休眠口座になってしまったようである。

 

とりあえず不正にお金が引き出されたのではないとわかり安心したが、自分の意図に反して没収されたことに変わりはない。

 

森永卓郎さんの啓発によれば、こういうものを放置しておくと、自分が死んだときに相続人が困るというので、解約することにした。

今やらないとすぐに忘れてしまうだろう。気がついたらすぐやることにする。

 

何年かぶりに銀行の窓口に行く。ATMなら窓口よりは利用するが最近は月に1回あるかどうかである。銀行はインターネット取引を勧めているので、窓口に来るのはマイナーな取引をする人と、機械に慣れない人ばかり。支店も人が減らされていて、2時間お待たせしますと言いながら、半分しか窓口を開けていない。

 

口座が凍結されているので無理だろうとは思いながら、郵送で手続きできないんですかねと尋ねてみるが、店鋪で手続きするしかないとのこと。

 

ソファで待っていると、書類を持っているか、はんこを持っているか、用件は他にないかとしきりに受付担当の人が来て何度も聞かれたが、最終的には窓口担当に引き継がれ、窓口に呼ばれて出金伝票に「口座解約」と書いて提出しただけ。銀行としては本人確認のために生身の自分が必要なのかもしれないが、書類としては郵送でできなくもないのではと思った。

 

通帳と届出印と本人確認書類と本人を揃えて銀行に行ったが、悪条件が重なり、店鋪での手続きで解約手続きが完了しなかった。通帳を預けたので手続きが終わったら郵送するとのことだったが、手続きに1か月かかるとのこと。思わず「ネット銀行に負けちゃうよ」とつぷやいてしまった。ごめんなさい。

 

手続きに1か月かかるのほ仕方がないとして、1か月にわたって預金者の資金を無利子で凍結することに保障はないのだろうか。ちなみにお詫びの景品が欲しいわけではない。

 

キャンペーンでいたずらに口座を作るのはやめにしよう。解約するだけでも交通費と時間がかかり、わずかにもらった特典を上回る負担があるかもしれない。

休眠口座が社会問題になっているが、休眠させているのは銀行手続きである。意図的に寝かしておきたい口座については10年以内に資金移動をするようにしよう。

 

伝統的な銀行もネット銀行のように通帳をやめようとしている。以前、他の銀行で外貨預金にはまり、為替の変動に応じて外貨に変えたり円貨に戻したりをネットで楽しんでいたら、解約の際に「未記帳が12冊分あります」と言われて、その時も後日郵送になった。通帳は時間がかかる原因のひとつである。

それをやめようとするのはいいのだが、もともと通帳で取引をしていた人は置いていかれて、対応するための人員は削られているから長い付き合いのある預金者は不自由を受け入れなければならない。もっとも、通帳については、紙が残ったほうがいいと思っている預金者もいるから仕方がない。インターネットバンキングができる人は、希望すれば通帳をやめる手続きはインターネットでできる。

 

解約の仕方

  • キャッシュカード、通帳、届出印、本人確認書類を集める
  • 古い金融商品については受付の人が知らない可能性があるので、当時の資料などがあれば持って行く
  • 休眠口座を発見したきっかけとなった資料も持って行く
  • インターネットで、窓口の来店予約をする
  • 開設した支店で手続きをする

自分の口座ならまだしも、後見制度や相続人の場合は他人になるので、さらに手続きが面倒である。1回の来店で解決すると期待せず、気長に取り組む必要があるだろう。