少子化に拍車がかかる

 新しい生活様式なるものが叫ばれる中、マスク姿かリモートで本当に人間は仲良くなれるのだろうか。
 容姿だけがすべてではないと理屈では言うけれど、恋愛の世界では、近くで顔を見ないで相手のことをかっこいいとかかわいいとか愛おしいとか思えるものなのだろうか。
 夜の街がテレビを通じて連呼され、直近は、コンパも開きにくくなっている。観光や外出も低調で、ナンパもできない。大学生も新入社員も在宅で異性と出会う機会がない。恋愛は難しくなっている。
 VR技術はまだ録画映像がある程度。リアルタイムのVRで人がコミュニケーションを取れるようになるにはまだ時間がかかる。スマートフォンは小手先の進化しか遂げられず、未だ小さい画面から飛び出す技術が出てきていない。最近のiPhoneは、カメラレンズの数が増えたりはしているけれど、出力の進化については画面が有機ELになったあたりから代わり映えしない。
 すると、今日現在は、リモートだけで人の出会いをカバーするのは難しいかもしれない。
 ただし、レコードの後継として現れたCDは、レコードの音質をカットしたものの、市場に受け入れられた。やがてはハイレゾになり、耳に聞こえない周波数をデジタルでもカバーするようになっている。それを考えると、リモート会話技術は今のところ平面カメラに映る範囲の映像と、会話の周波数に特化した音声、そしてPC画面やチャットくらいのインターフェースしか持ち合わせていないが、やがては3D映像、雑音だけ取り除かれた音響、やがては五感をすべて共有できるようになるかもしれない。
 人間が想像する力はすばらしく、文字や二次元の世界だけでもコミュニケーションを取って恋愛を始める者も出始めている。やがては、顔が見えない、触れないくらいの障害は乗り越えるかもしれない。
 ただし、
 出産はどうだろうか。感染病の蔓延は人類生存の危機であり、人種保存の防御反応が出るべきところなのだが、接触を制限している。恋愛が実って家族になれたとしても、生殖行為だけはリモートではできない。
 アバターで惹かれ合った人は、生身の体とどのようにコミュニケーションを取るのだろうか。
 わたしは少子化に一層拍車がかかるのではないかと思っている。
 WITHコロナが今だけだとは到底思えず、1年2年出生率を落としてしまい、その後復活しないとなれば、今はしょうがないとも言っていられない。
 子育ては大変だから多産に多額の手当を出すくらいでは間に合わず、とにかく生んだら報奨金を出すくらいの勢いで、産んだ方が金銭的にも得な状況にしないといよいよ大変なことになる。