識者やネット住民が、QRコードよりもSuicaの方が便利だと言っているのを見かけます。
店でお金を払うときの手間という意味ではある程度理解できますが、Suicaがいいとまでは思いません。
自動販売機やコンビニでは便利
Suicaカードリーダーに自動的に決済金額が入力される仕組みが整っている場合は最速だと思われます。かざして「ぴぴっ」で済む瞬間は便利です。SuicaはJR東日本のサービスですが、鉄道系ICカードの連携サービスを行っているリーダーであれば、全国どこに行っても「スイカ」と言えばわかってもらえます。JR東日本の駅構内にある自動販売機であれば全台ポイントがたまりますし、コカ・コーラ社が設置している自動販売機で比較的新しいものでもポイント付与が始まりました。コンビニでの決済でもストレスは感じないと思います。
中小商店では微妙
中小店舗に行くと、決済額を店員がテンキーに入力するタイプのものが見られますが、コンビニのレジに比べるとテンキー入力時間の作業でもたつく場合があります。QRコード決済では自分で決済額を入力させられることがありますが、わたしの感覚では、店員にもたもたされるくらいであれば自分で入力した方がましです。
履歴管理ができない
クレジットカードの決済網を活用した方式では、決済日、店舗情報等を履歴として入手することができ、家計簿管理が楽です。一方、Suicaでは店舗情報がわからず「自動販売機」と「物販」しかわからないので、何を買い物したのか思い出す必要があります。鉄道の自動改札では何番目の改札機を使ったかまで保存されているようですが、電子マネー決済の履歴管理はおまけです。
使ったお金の管理ができないと、現金派が主張するように使いすぎてしまうおそれがあります。
決済者への還元率が低い
店から取る手数料が高い割には、もらえるポイントが限られています。もっとも、シェア拡大を狙っている新興決済サービスが大盤振る舞いしているだけです。
残高を管理する手間が大きい
日常使いしたければ、比較的高い買い物も事前準備なくできたらいいと思います。ところが、チャージした残高がカードに残るプリペイド方式は、紛失リスクがあります。ICカード等を交換するときは残高を使い切る必要があります。おサイフケータイの場合は、クラウドに預ける操作が必要になります。
考察
Suicaが便利と言っている人たちは、電車とコンビニしか使わないのでしょう。そして、オートチャージを使わないか、どれだけチャージされたか気にしないかのどちらかなのでしょう。
キャッシュレスは、コンビニや大手スーパー以外でも現金を使わないようにしましょう、という取り組みなので、自分が使う範囲でキャッシュレスになっているからと言って、キャッシュレス「社会」の本命がSuicaだというのは違うと思います。Suicaは中小商店にとって手数料が高いです。
そして、オートチャージを使わないというのは、半現金主義です。ATM→紙幣→チャージ、というやり取りをしているのは現金管理が継続されているということです。それを解決するのはオートチャージですが、オートチャージをした結果を気にしないというのはお金持ちにしかできないと思います。
わたしの場合はSuicaのオートチャージを使いますが、主には鉄道利用です。鉄道系ICカードでしかキャッシュレス決済できない店もあるのでSuicaも使いますが、買い物だけで月に3万も5万も使っていたら、わたしのなかではすべて使途不明金になってしまいます。
Suicaよりいいものは?
わたしは履歴管理を重視しているのでSuicaの評価が高くないのですが、他の決済手段も万能ではありません。
現金最高という説は根強いですが、やはり小銭のもたつきと、小銭をなくすリスクが大きすぎてわたしの中ではとても評価が低いです。
他の手段もすべての面で弱点を克服しているというものは存在しません。コンビニでSuicaと同じように使えて、履歴管理ができ、残高がカードに残らないという観点ではクレジットカード会社が提供するiDが優れています。しかし使う店を選びます。還元率の高さや、中小商店への浸透ではQRコードも捨てがたいものがあります。iDとしても使えるQRコード決済としてメルペイがありますが、このiDは履歴管理に難ありです。
Suicaを批判したいわけではなく、Suicaのシステムを刷新してほしいです。ただ、まだ全国で見れば現仕様を広めている最中であり、何年後になるのかわかりません。