国内No.1のクレジットカードである楽天カードを持つ楽天。国内No.1の非接触決済サービスを持つSuica。両社が提携。
今、新しいサービスを企画しているところだろうが、この提携の持つ意味は何か。
楽天は、非接触のEdyを持っているのだが、Suicaを他の陣営に取られたくなかったのだろう。モバイルSuicaアプリは首都圏を中心に鉄道利用者のスマートフォンアプリとしての地位は高いが、楽天Edyアプリは微妙な立場。ほかにも楽天関係のアプリはたくさんあるが、たくさんありすぎて邪魔という状態である。
そんな中で例えばソフトバンクに取られてしまったら、楽天Payと楽天Edyはおしまいであり、とりあえず生き残りの権利を得られたというところ。
JRはJREポイントやSuicaの購買履歴管理、Suicaリーダーの展開が不十分。駅ナカ、系列店舗、コンビニ以外に広げることができていない。あと、Suica、PASMOエリア以外ではオートチャージができない。自社エリアであっても一部の簡易改札機などではオートチャージができていない。そこで、みずほ銀行をはじめ、少しでもチャージができるチャネルを増やさないと地方で使えない。
JR東日本は早く切符をなくしたいと思っているだろうが、需要が少ない地域ではICカードですら増やしたくないだろうから、スマートフォンでのSuica利用を拡大させたいところ。
JR東日本は伝統的に利用者向けのITシステムがいまいちで、楽天が多少テコ入れをしたところであまり変わらないのではないかと思っている。ビューカードやIT部門を誰かに買い取ってもらうくらいのことをしないと治らない。
次の焦点は中途半端な関東私鉄連合であるPASMOを誰が乗っ取るかである。意外とここにプラットフォーマーが関与する可能性がある。
全国鉄道系ICカードはバージョンアップを必要としている。
- 駅を造ったり名前を変えたりするだけで億単位の費用がかかる
- PASMO以外の連続利用やエリアまたぎができない*1
- サブスクリプションモデルへの対応*2は、定期券しかできていない。回数券ですら対応できていない。
しかし、鉄道会社が多すぎてとりまとめが大変である。だから、QRコード決済で数百億円の投資が行われているように、鉄道についても全国の半分くらいはうちがまとめてやってしまいますというようなプラットフォーマーが現れないとイノベーションが起こらないのである。
楽天は国内プラットフォーマーを名乗り始めたと理解しているが、Suicaを軸に鉄道課金の次世代化を進められるのか。やらないとグローバルプラットフォーマーやITジャイアントがやるだろう。