企業型確定拠出年金

会社に入ると、年金相当額の現金支給か、確定拠出年金利用かを迫られることがある。
確定拠出年金だと税制上有利だというが、いろいろな方に真相を取材した。

手数料が高い

現金でもらうと確かに所得税住民税がかかってくるが、その分を上回る投資ができれば問題ないという発想もありうる。
確定拠出年金は、確定拠出年金を管理する業者にゆだねるということだ。豊富な商品から選べます、というわりには大した利回りの商品はないし、手数料も高い。役所に税金を払う代わりに金融機関に手数料を払っているだけのような気がする。ただ、老いる前に使い込みができないという点は確定拠出年金はとても優れている。

加入者のための商品が乏しい

分散投資と言いながら、アメリカか日本くらいしか選ぶ余地がない。新興国への投資商品はないし、不動産などもない。商品カタログにはDC専用(確定拠出年金専用)商品というのが存在するが、一般商品とどう違うのか、目論見書を隅まで読んでも書いていない。ネット証券にあるようなノーロード商品やインデックス商品も少ない。こんなもので毎月ウン億も集める管理会社はいい商売しているなと思う。

ポータビリティが微妙

老後の年金を保全するために、会社を変わっても年金を持ち込める「ポータビリティ」が特徴とされている。しかし、正直その場で解約してもらっても同じ。安易な家計補填(使い込み)に流されないという点は認めるけれど、このインターネット時代に移管に1〜2か月程度かかる。その間、旧管理会社が商品を解約することになるが、無利子のまま放置される。さらに解約時には財産留保額が控除されるので、目減りも激しい。

税制優遇はいつまで補償されるのか

成熟社会を迎える中、年金にお金が集まってくれば、そこから徴税するしかないだろうと政府は考えるだろう。実際に給付が受けられる数十年後まで現在の税制が維持されるのだろうか。

運営会社に競争がない

働く企業が選んだ運営会社しか利用できない。加入者が自由に運営会社を選ぶこともできない。運営会社の間で競争が働かない。他の運営会社に比べて自社がいかに低手数料で、商品数を充実させているのかアピールしている会社を知らない。idecoも横並びではあるが、それでも比較ができるだけましである。

ただし、これでも加入者にはあまり不満はなさそうだ。勤務先が勧めるので確定拠出年金を選んだものの、預金や保険などの元本確保型商品を選ぶ人がとても多い。